Windows 10でユーザーアカウントのパスワードを忘れてサインインできなくなった場合の対処方法としては、次の方法が一般的です。
- セキュリティの質問を使ってパスワードをリセットする
- パスワードリセットディスクを使ってパスワードをリセットする
また、上のどちらも使えないときのリセット方法としては、サードパーティのツール「chntpw」を利用する方法もありますが、実はWindows 10のインストールメディアを使ってサインイン画面を改変してパスワードをリセットするテクニックがあります。
そこでここでは、Windows 10のインストールメディアを使って、Windows 10のサインイン画面を改変して、ユーザーアカウントのパスワードをリセットする方法を紹介します。

目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 1909 |
手順の流れ
大まかな手順は、次のとおりです。
- Windows 10のインストールメディアで起動して、Windows 10のサインイン画面の右下に表示されている「コンピューターの簡単操作」のリンクからコマンドプロンプトが起動するよう一時的に変更
- Windows 10を起動して、サインイン画面の右下に表示されている「コンピューターの簡単操作」のリンクからコマンドプロンプトを起動
- 「net user」コマンドで、ユーザーアカウントのパスワードを変更
インストールメディアから起動し、ファイルを偽装
まずは、サインインできなくなっているマシンを、Windows 10のインストールメディアから起動します。
マシンをインストールメディアから起動するには、マシン起動時にUEFI(BIOS)設定画面を開いて、起動デバイスを選択したり、起動順を変更するなどします。(詳細は、マシンのマニュアルなどを参照ください)
起動すると、次の画面が表示されるので、そのまま「次へ」をクリックします。
次の画面で、左下の「コンピューターを修復する」をクリックします。
「オプションの選択」画面が表示されるので「トラブルシューティング」をクリックします。
「詳細オプション」画面が表示されるので「コマンドプロンプト」をクリックします。
コマンドプロンプトが起動したら、以下のコマンドを順に実行して「コンピューターの簡単操作」のリンクからコマンドプロンプトが起動するよう偽装します。
> ren C:\windows\system32\Utilman.exe Utilman.exe.bak
> copy C:\windows\system32\cmd.exe C:\windows\system32\Utilman.exe
ドライブレターは、Windowsがインストールされているドライブを指定します。
コマンドを実行し終えたら、コマンドプロンプト右上の「×」ボタンをクリックして、コマンドプロンプトを終了します。
コマンドプロンプトを終了すると「オプションの選択」画面が表示されるので「PCの電源を切る」をクリックし、PCの電源をいったん切ります。
ユーザーアカウントのパスワードを変更
サインインできなくなっているWindows 10を起動して、サインイン画面を表示し、右下の「コンピューターの簡単操作」のリンクをクリックします。
すると、通常は簡単操作のメニューが表示されますが、上の偽装によりコマンドプロンプトが起動するので、「net user」コマンドで、特定のユーザーアカウントのパスワードを変更します。
例えば、user02のパスワードを「P@ssw0rd」に設定する場合は、以下のようにコマンドを実行します。
> net user user02 P@ssword
「コマンドは正常に終了しました。」と表示されれば、パスワードの変更完了です。
マシンを再起動すれば、変更したパスワードでサインインできるようになっているはずです。
ファイルの偽装を戻す
なお、無事サインインできたら「コンピューターの簡単操作」の実行ファイルを元に戻します。
手順は、偽装時と同じようにWindows 10のインストールメディアからマシンを起動して、コマンドプロンプトを起動して以下のコマンドを実行します。
> move /y C:\Windows\Sytem32\Utilman.exe.bak C:\Windows\Sytem32\Utilman.exe
以上で、作業完了です。
あとがき
ちなみに、この方法はWindows 7時代から使えるテクニックですが、Windows 10バージョン1909でも利用できますね。