古いハードディスク(HDDやSSD)を譲渡・売却・廃棄するとき、手放す前にデータを消去するのは必須の作業ですが、データの消去方法(ファイルを削除するだけや、フォーマットしただけ)によっては、データの痕跡が残ったままとなり、データの復旧を試みられると、復元されてしまう可能性があります。
そのため、データを復元できないよう消去する方法として、専用のデータ消去ツールを利用するのが一般的ですが、Windowsの標準ツールでも、データを復元できないよう消去することができます。
それが「diskpart」ツールです。
diskpartは、Windowsに古くから搭載されているディスク管理用のコマンドラインツールです。
そこでここでは、Windows 10でDiskpartツールを使ってドライブのデータを完全消去する方法を紹介します。

目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 1909 |
diskpartでディスク上のデータを完全消去する
diskpartの起動
管理者権限でコマンドプロンプトかWindows PowerShellを起動して「diskpart」と入力し、エンターキーを押します。
> diskpart
するとdiskpartツールが起動し、プロンプトが「DISKPART>」に変わります。
ディスクの選択
diskpartツールが起動したら「list disk」と入力しエンターキーを押すと、現在PCに接続されているディスクが一覧表示されます。
DISKPART> list disk
ディスク 状態 サイズ 空き ダイナ GPT
### ミック
------------ ------------- ------- ------- --- ---
ディスク 0 オンライン 40 GB 0 B *
ディスク 1 オンライン 10 GB 0 B *
ディスク 2 オンライン 60 GB 1024 KB *
ディスク 3 オンライン 8 GB 1024 KB
DISKPART>
次に、ディスクの一覧から、データを消去したいディスクを選択します。
ここでは、ディスク1として接続されているハードディスクのデータを消去したいので「select disk 1」と入力してエンターキーを押します。
DISKPART> select disk 1
ディスク 1 が選択されました。
DISKPART>
ディスクを選択したら「detail disk」と入力しエンターキーを押すことで、選択したディスクのメーカーや、ディスク上に作成しているボリューム情報などが表示されるので、操作するディスクに間違いがないか確認しておきます。
誤ったディスクを選択することがないよう、よく確認してください。
DISKPART> detail disk
Microsoft Virtual Disk
ディスク ID: {580DEADF-CD41-4319-9DC6-A91EB2581547}
種類 : SAS
状態 : オンライン
パス : 0
ターゲット : 0
LUN ID : 0
場所のパス : UNAVAILABLE
現在の読み取り専用状態: いいえ
読み取り専用 : いいえ
ブート ディスク : いいえ
ページ ファイル ディスク : いいえ
休止状態ファイル ディスク : いいえ
クラッシュ ダンプ ディスク : いいえ
クラスター化ディスク : いいえ
Volume ### Ltr Label Fs Type Size Status Info
---------- --- ----------- ---- ---------- ------- --------- --------
Volume 4 D ボリューム NTFS Partition 9 GB 正常
DISKPART>
ディスク上のデータを完全消去する
ディスクの選択に間違いがないことを確認したら「clean all」と入力しエンターキーを押すことで、ディスク上のデータを消去する処理が開始されます。
なお「clean all」コマンドでは、ディスクの全セクタにゼロデータを書き込むので、完了には長時間かかり、進捗は表示されません。
環境にもよりますが、1TBのハードディスクのデータを消去する場合、約2時間ほどかかるようです。
「DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。」と表示されれば、データの消去完了です。
DISKPART> clean all
DiskPart はディスクを正常にクリーンな状態にしました。
以上で、ディスク上のデータ消去は完了です。
あとがき
一昔前だと、データ消去時は複数回データを上書きしないと、残留磁気を読み取られてデータを復元される可能性があるといわれていましたが、ここ10年ぐらいの間に販売されているハードディスクは、その材質や磁気の記録方式をはじめ、あらゆる部分において、一度でも上書きしてしまうと復元はほぼ不可能とのことなので、ここで紹介したdiskpartツールでデータ消去する方法で十分な効果があるのではないでしょうか。
参考
デジタル・フォレンジックにおけるデータの完全消去と復元の「微妙な関係」 (1/2) - ITmedia エンタープライズ
媒体のデータ抹消処理(サニタイズ)に関するガイドライン Guidelines for Media Sanitization | IPA 独立行政法人 情報処理推進機構