Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windows環境には、PCが不調になったときに正常な状態に戻す方法がいくつか用意されており、その中でもWindows 10から利用できる初期化方法に「このPCを初期状態に戻す」機能があります。

「このPCを初期状態に戻す」では、ユーザーデータを保持した状態で初期化できたり、Windows 10のバージョンやビルドを維持した状態で初期化できるなど、これまでの初期化方法に比べてカンタンかつ短時間で初期化できるようになっています。

そこでここでは、Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法を紹介します。

この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。

ソフトウェアバージョン
Windows 10 Pro 64bit21H2

「このPCを初期状態に戻す」の特徴

「このPCを初期状態に戻す」の特徴は、次のとおりです。

  • Windowsが起動している状態、もしくはWindows回復環境から実行が可能です。
  • 更新プログラムが適用された状態でWindows 10を初期化してくれるので、初期化後に更新プログラムを適用し直す必要がありません。(Windows Defenderのみ更新が必要です)
  • 個人用フォルダーに作成したファイルは、保持するかすべて削除するかを選択できます。
  • 自分でインストールしたデバイスドライバー、デスクトップアプリ、ストアアプリは削除されます。
  • Windowsのシステム設定や個人用設定は初期化されます。
  • 「個人用ファイルを保持する」を選択すると、ユーザーアカウントは保持されます。
  • システムの初期化に必要なデータは、ローカルのデータを利用するか、クラウドからダウンロードするかを選択できます。

「このPCを初期状態に戻す」利用時の注意点

「このPCを初期状態に戻す」を利用する際には、いくつかの注意点があるので、利用前に確認しておきましょう。

  • システムドライブ(通常はCドライブ)に一定の空き容量が必要(32bit版のWindows 10では最低で16GB、64bit版のWindows 10では最低で20GB)になるので、あらかじめシステムドライブの空き容量を確認して、空き容量が少ないようなら不要なデータを削除するなどして十分な空き容量を確保しておきましょう。
  • デバイスの暗号化機能やドライブの暗号化機能を利用している場合は、初期化中に回復キーを要求されるので、あらかじめ用意しておくか、暗号化を解除してから初期化を実施します。

また「このPCを初期状態に戻す」で、個人用ファイルを含むすべてのデータ削除する場合は、初期化前にOneDriveからサインアウトしておくか、OneDriveをアンインストールしておかないと、OneDriveからローカルにダウンロードあるいは同期されたファイルが削除されない場合があるのでご注意ください。(2022年3月の更新プログラムで解決)

参考:Windows 11 known issues and notifications | Microsoft Docs

「このPCを初期状態に戻す」の実行方法

まず、スタートメニューなどから「設定」アプリを起動し「更新とセキュリティ」>「回復」を順にクリックして「このPCを初期状態に戻す」の「開始する」をクリックします。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Memo

Windowsが正常に起動できない場合は、デバイス内のWindows回復環境を起動して「トラブルシューティング」から「このPCを初期状態に戻す」を実行できます。

デバイス内のWindows回復環境は、Windows 10の起動に複数回失敗したときに自動的に起動されたり、サインイン画面が表示できるなら、右下の[電源ボタン] をクリックし、Shiftキーを押しながら「再起動」をクリックすることでも起動できます。

なお、Windows回復環境から「このPCを初期状態に戻す」を実行するには、管理者ユーザーのパスワード認証が必要になります。(Windows 10へのサインインにパスワード認証を一回も行っていない管理者ユーザーは利用できません。)

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

「このPCをリセットする」画面が表示されたら、まず個人用ファイルを保持するかを選択します。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windowsを再インストールする方法を選択する画面が表示されるので、インストールに必要なデータをクラウドからダウンロードするかローカルのデータを利用するかを選択します。

Windows 10が正常に動作していない場合など、システムファイルの破損が考えられる場合は、クラウドからのダウンロードを選択したほうが確実に初期化できるでしょう。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

なお「クラウドからダウンロード」を選択した場合、再インストールに必要なデータをクラウドからダウンロードするため、「ローカル再インストール」に比べて10分ほど余計に時間が掛かります。

以降は、選択したオプションにより手順が異なります。

「個人用ファイルを保持する」を選択した場合

「追加の設定」画面が表示されるので、そのまま「次へ」をクリックします。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

「このPCをリセットする準備ができました」画面が表示されるので「リセット」をクリックすると初期化が開始されます。

なお「削除されるアプリを表示します」をクリックすると、削除されるアプリを確認することができます。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

初期化処理中は数回再起動され、処理に掛かる時間は、PCのスペックやWindowsの状態により変わりますが、およそ30分~1時間ほどです。

処理後が完了したら、いつものアカウントでサインインして、デスクトップが表示されればOKです。

なお、デスクトップには「削除されたアプリ」というHTMLファイルが生成され、初期化によって削除されたデバイスドライバーやアプリが記載されているので、デバイスドライバーやアプリを再度インストールするときに役立ちます。

以上で、初期化完了です。

「すべて削除する」を選択した場合

「追加の設定」画面が表示されるので、現在の設定内容に問題なければそのまま「次へ」をクリックします。

設定を変更したい場合は「選定の変更」をクリックして「設定の選択」画面で設定を調整後「次へ」をクリックします。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Memo

「設定の選択」画面では、初期化で削除されたデータを復元されにくいようクリーニングするかや、すべてのドライブからファイルを削除するかを選択できます。

PCを誰かに譲ったりするために初期化する場合は、ドライブをクリーニングしたり、すべてのドライブからデータを削除する必要があるでしょう。

なお、ドライブのクリーニングには長時間を要します。

設定を調整したら「確認」をクリックして、前の画面に戻ります。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

「このPCをリセットする準備ができました」画面で「リセット」をクリックすると初期化処理が開始されます。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

初期化処理中は数回再起動され、処理に掛かる時間は、PCのスペック、Windowsの状態などにより変わりますが、ドライブのクリーニングなどを行わなければ、およそ1時間ほどです。

初期化が完了すると、Windows 10をクリーンインストールした時と同じように、Windowsの初期設定画面が表示されるので順に設定します。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

以上で、初期化完了です。

必要なデータが削除されてしまった時は

なお、個人用ファイルを保持する設定で初期化した場合、初期化前のデータがシステムドライブ(Cドライブ)直下の「Windows.old」フォルダーに10日間保存されているので、必要なファイルが削除されてしまった場合、このフォルダーから救出できることがあります。

Windows 10を「このPCを初期状態に戻す」で初期化する方法

あとがき

なるべく初期化せずに利用し続けられれば、それに越したことはないですが、Windows 10にはカンタンに初期化する方法がきちんと用意されているので、Windowsの調子が悪くなった時の回復手段として覚えておいて損はないです。

なお「このPCを初期状態に戻す」を行う前にデバイスドライバーをバックアップしておけば、初期化後のデバイスドライバーのインストールが楽になります。

デバイスドライバーのバックアップ方法は、以下の記事で紹介しています。

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ここでは、Windows 10にインストールされているデバイスドライバーを一括でエクスポート(バックアップ)したり、エクスポートしたデバイスドライバーをインポートする方法を紹介します。