WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

Windows 11でAndroidアプリを実行できる「Windows Subsystem for Android(以下、WSA)」は、通常はAmazonアプリストアからしかアプリをインストールできませんが、本記事で紹介している手順を実施すれば、APKファイルからAndroidアプリをインストールして実行させることもできます。

そこでここでは、WSAにAPKファイルを使ってAndroidアプリをインストールする手順を紹介します。

Memo

APKファイルとは、Android Package Kitの略で、Android環境でアプリの配布やインストールに使用されるファイル形式です。

Windows Subsystem for Androidとは?使い方は?
ここでは、Windows 11でAndroidアプリを実行できる「Windows Subsystem for Android(WSA)」の概要や基本的な使い方を紹介します。

この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。

ソフトウェアバージョン
Windows 11 Pro22H2

事前準備

ADBのインストール

APKファイルを使ってWSAにAndroidアプリをインストールするには、Android Debug Bridge(以下、ADB)というコマンドラインツールが必要になります。

ADBは、Googleが提供しているAndroidアプリの開発キット「Android SDK」に含まれており、以下のWebサイトからダウンロードできます。

SDK Platform-Tools リリースノート  |  Android デベロッパー  |  Android Developers

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

「SDK Platform-Tools for Windows」のリンクをクリックしてZIPファイルをダウンロードしたら、解凍して任意のフォルダーに配置します。

次に、ターミナル(Windows PowerShell)を起動し、Android SDKを配置したフォルダーにカレントディレクトリを移動してから以下のコマンドを実行して、ADBのバージョンが表示されればOKです。

PS> .\adb version

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

なお、ターミナル画面は後続の手順で使用するのでそのままにしておきます。

WSAの開発者モードを有効化

次に、スタートメニューの「すべてのアプリ」から「Android用Windowsサブシステム」を起動して、画面左側のメニューから「詳細設定」を選択してから「開発者モード」を「オン」に設定します。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

開発者モードを有効化してから「詳細設定」画面を開きなおすと、画面上に「ADBは127.0.0.1:58526で接続できます。」と表示され、この情報がADBからWSAに接続する際に指定するIPアドレスとポート番号になります。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

ADBコマンドでWSAに接続

次に、スタートメニューの「すべてのアプリ」から「(Amazon)アプリストア」を起動します。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

Amazonアプリストアを起動したら、ターミナル画面に戻って以下のコマンドを実行します。(IPアドレスとポート番号は、開発者モードを有効にしたときに表示されていた情報を入力します。)

PS> .\adb connect <IPアドレス:ポート番号>

コマンドを実行すると「ADBのデバッグを許可しますか?」画面が表示されるので「許可」をクリックします。

Memo

「ADBのデバッグを許可しますか?」画面で「拒否」をクリックしてしまったときは、「adb kill-server」コマンドを実行してadbデーモンを終了して、改めて「adb connect」コマンドを実行しなおします。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

次に、以下のコマンドを実行して「IPアドレス:ポート番号」のattached列が「device」と表示されていれば、正常に接続できています。

> .\adb devices

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

以上で、事前準備完了です。

なお、ターミナル画面はAndroidアプリをインストールするときにも使用するのでそのままにしておきます。

APKファイルの入手

次に、インストールしたいAndroidアプリのAPKファイルを入手します。

ここでは例として、APK DownloaderというWebサービスを利用して、ニュースアプリとして人気のある「Yahoo!JAPAN」アプリのAPKファイルを入手します。

まず、WebブラウザからGoogle Playのページにアクセスして、インストールしたいAndroidアプリのページを開き、ページのURLをコピーします。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

次に、WebブラウザでAPK Downloaderのページにアクセスして、ページ上部のテキストボックスにコピーしたURLを張り付けて、その下に表示されている「Generate Download Link」ボタンをクリックします。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

しばらくすると、APKファイルのダウンロードリンクが表示されるので、クリックすればAPKファイルをダウンロードできます。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

Memo

インターネットから入手できるAPKファイルの中にはマルウェアが混入しているケースもあるようなので、入手するAPKファイルの安全性はご自身で十分にチェックしてください。

WSAにAndroidアプリをインストール

APKファイルを入手したら、ターミナルで以下のコマンドを実行してアプリをインストールします。画面上に「Success」と表示されればインストール完了です。

PS> .\adb install <APKファイル名>

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

インストールされたAndroidアプリは、スタートメニューのすべてのアプリ一覧に表示され、クリックすれば起動できます。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

インストールしたAndroidアプリの画面

なお、APKファイルからインストールしたAndroidアプリは、通常のWindowsアプリと同じ操作でアンインストールできます。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

事後作業

アプリのインストールが完了したら、ADBとWSAとの接続を切断して開発者モードを無効に戻しておきます。

ADBとWSAとの接続を切断するときは、ターミナルで以下のコマンドを実行し、画面に「disconnected」と表示されれば切断完了です。

PS> .\adb disconnect < IPアドレス:ポート>

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

つぎに、スタートメニューの「すべてのアプリ」から「Android用Windowsサブシステム」を起動して「開発者モード」をオフに戻します。

WSAにAPKファイルでAndroidアプリをインストールする方法

以上で、作業完了です。

あとがき

手順が少々面倒ですが、Google Playなどでしか配信されていないAndroidアプリをWindows 11のWSA上で利用したいときに有用です。