Windows 10仮想マシンをHyper-V上に作成し、仮想マシンに接続してみたところ、なぜか「拡張セッション」で接続できなくなっていました。
あれこれと設定を確認していたところ、どうやらバージョン2004で実装された機能に原因があるようでした。
そこで、ここではWindows 10の仮想マシンに「拡張セッション」で接続できないときに確認すべき設定項目について紹介します。
最近のHyper-Vでは、仮想マシンへの接続方法として「仮想マシン接続」と「拡張セッション」の2種類があり、Windows Server 2012 R2もしくはWindows 8.1以降の仮想マシンには「拡張セッション」で接続ができます。
「拡張セッション」は、リモートデスクトップ接続と同じように、ホストOSとゲストOSとの間でクリップボードを共有したり、ローカルドライブをマウントしたりといった便利な機能を利用できます。
目次
動作環境
この記事は、ホストOS・ゲストOSともに以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 2004 |
発生した現象
Windows 10バージョン2004の仮想マシンを新規インストールし、管理者アカウントとしてMicrosoftアカウントを設定したうえで、仮想マシンに「拡張セッション」で接続すると、以下のような画面表示になりました。
背景画像などは表示されていますが、サインイン情報を入力する画面が表示されていません。
原因
この現象の原因は、Windows 10バージョン2004で新たに実装された機能「MicrosoftアカウントにWindows Helloサインインを要求する」の設定によるもののようです。
拡張セッションでの接続でMicrosoftアカウントを利用する場合、パスワードを入力してサインインする必要がありますが「セキュリティ向上のため、このデバイスではMicrosoftアカウント用にWindows Helloサインインのみを許可する(推奨)」の設定がオンだと、パスワードによる認証ができなくなるため、拡張セッションでMicrosoftアカウントを利用したサインインができなくなります。
そのため、仮想マシンのWindows 10にMicrosoftアカウントしか登録されていないと、拡張セッションで接続した時に、サインイン画面が表示されないという現象が発生します。
なお「MicrosoftアカウントにWindows Helloサインインを要求する」の設定は、リモートデスクトップ接続には適用されないため、この設定がオンでも、Microsoftアカウントとパスワードの組み合わせでリモートデスクトップ接続は可能です。
回避方法
この現象を回避する方法としては、以下の2通りがあります。
一つ目の方法は「セキュリティ向上のため、このデバイスではMicrosoftアカウント用にWindows Helloサインインのみを許可する(推奨)」の設定をオフにする方法です。
オフに設定することで、セキュリティは低下しますが、拡張セッションでの接続でMicrosoftアカウントを利用できるようになります。

「MicrosoftアカウントにWindows Helloサインインを要求する」の設定をオフにした画面
2つ目の方法は、Windows 10仮想マシンにローカルアカウントを追加して、拡張セッションで接続するときはローカルアカウントを利用することで、サインインが可能となります。

ローカルアカウントを追加した時のサインイン画面
あとがき
「MicrosoftアカウントにWindows Helloサインインを要求する」設定など、セキュリティを強化してくれる機能は、ときに思わぬトラブルを引き起こすこともあります。
特に機能アップデートを適用した後などは、今までと同じような操作が可能かチェックが必要ですね。