ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

教育現場などでの採用で注目されているChromebook(クロームブック)に搭載されているChromeOSを、一般的なノートパソコンなどにインストールできるようにした「ChromeOS Flex」が、2022年の2月からベータ版として無償公開されています。

そこでここでは、ChromeOS Flexの概要と、Windows用の古いノートパソコンへChromeOS Flexをインストールし初期設定するまでの手順を紹介します。

動作環境

この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のバージョンなどでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。

ソフトウェアバージョン
ChromeOS Flex103.0.5045.0(Dev)

ChromeOS Flexとは

ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

PC 版または Mac 版 ChromeOS Flex を入手 - Chrome Enterprise

ChromeOS Flexは、教育現場などでの採用で注目されているChromebook(クロームブック)に搭載されているChromeOSを、一般的なノートパソコンなどにインストールできるようにしたオペレーティングシステムで、Googleが2022年の2月からベータ版として無償公開しています。

一般的なノートパソコン(古いノートパソコン)をChromebook化する方法としては、米Neverware社の「CloudReady」が有名でしたが、GoogleがNeverwareを買収したことで、CloudReadyが新たにChromeOS Flexとして提供されることになりました。

なお、ChromeOS FlexとChromeOSでは利用可能な機能に違いがあり、おもな違いとしては、ChromeOS FlexではGoogle Playストアの利用やAndroidアプリを実行できません。

そのほかの細かな違いについては、以下の公式ページが参考になるでしょう。

ChromeOS Flex と ChromeOS の違い - ChromeOS Flex ヘルプ

ちなみに、企業などの組織でChromebookを集中管理するための機能として提供されている、Chrome Enterprise UpgradeとGoogle管理コンソールは、ChromeOS FlexでChromebook化した端末の管理も可能なようです。

インストール用USBメモリを作成する

ここからは、Windows用のノートパソコンにChromeOS Flexをインストールして、初期設定するまでの手順を紹介します。

まずは、作業用のパソコンでChromeOS Flexのインストール用USBメモリを作成します。(ここでは、作業用のパソコンとしてWindows 10を使用しています。)

インストール用USBメモリは、Webブラウザ「Google Chrome(以下、Chromeブラウザ)」の拡張機能「Chromebookリカバリユーティリティ」を使って作成するので、まずは、Chromeブラウザを開き、以下のページから拡張機能「Chromebookリカバリユーティリティ」をインストールします。

Chromebook リカバリ ユーティリティ | Chromeウェブストア

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「Chromebookリカバリ ユーティリティ」をインストールしたら、アドレスバー右側の拡張機能アイコンから「Chromebookリカバリユーティリティ」をクリックします。

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「Chromebookリカバリユーティリティ」画面が開くので、8GB以上のUSBメモリまたはSDカードをパソコンに接続してから「始める」をクリックします。

なお、使用するUSBメモリまたはSDカード内の既存のデータは全て消去されます。

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「Chromebookの識別」画面が表示されるので「リストからモデルを選択」をクリックします。

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次画面で「メーカーを選択」から「Google ChromeOS Flex」を、「製品を選択」から「ChromeOS Flex(Developer-Unstable)」を選択し「続行」をクリックします。

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「USBフラッシュドライブまたはSDカードの挿入」画面が表示されるので、インストールイメージを書き込むUSBメモリまたはSDカードを選択して「続行」をクリックします。

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「リカバリイメージの作成」画面が表示されるので、書き込み先メディアを確認後「今すぐ作成」をクリックすると、書き込みが開始されます。

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なお、メディアの作成途中でユーザーアカウント制御(UAC)の警告ダイアログが表示されるので「OK」をクリックします。

作成が完了すると「リカバリメディアの作成が完了しました」と表示されるので「完了」をクリックして、USBメモリまたはSDカードを取り外します。

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ChromeOS Flexの起動

ChromeOS Flexは、インストール用USBメモリを使って、パソコンにインストールして利用する方法と、パソコン内の既存データはそのままにして、インストール用USBメモリ上でChromeOS Flexを実行することができます。

いずれの場合も、まずは作成したインストール用USBメモリからパソコンを起動します。(USBメモリからの起動方法は、使用するパソコンによって異なるのでマニュアルなどをご確認ください)

ChromeOS Flexが起動して、スクリーンリーダー(音声読み上げ)機能である「ChromeVox」を有効化するかの画面が表示された場合は「No, continue without ChromeVox」をクリックします。

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「Welcome to ChromeOS Flex」画面が表示されるので「English (United States)」をクリックします。

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「Choose your language & keyboard」画面が表示されるので、「Language」のプルダウンリストから「Japanese - 日本語」を、「キーボード」のプルダウンリストから「日本語」を選択し「OK」をクリックします。

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「ChromeOS Flexへようこそ」画面が表示されるので「始める」をクリックします。

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「ChromeOS Flexのご利用開始」画面が表示されるので、パソコンにインストールする場合は「ChromeOS Flexをインストール」を選択し、パソコンにはインストールせずに、インストール用USBメモリから起動して利用する場合は「試してみる」を選択して「次へ」をクリックします。

ここでは例として「試してみる」を選択します。

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「ネットワークへの接続」画面が表示されるので、無線LANに接続するなら接続するSSIDを選択し、パスワードを入力します。(有線LANの場合は、ネットワークが接続されていることを確認します。)

ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

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ネットワークに接続すると利用規約が表示されるので、内容を確認後「同意して続行」をクリックします。

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「このChromeデバイスはどなたが使用しますか?」画面が表示されるので「あなた」を選択して「次へ」をクリックします。

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Googleアカウントの入力画面が表示されるので、Googleアカウントとパスワードを入力し、同期やGoogleアシスタント、データ収集、スマートフォン連携など、アカウント関連の設定を行います。

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「これで準備完了です。」画面が表示されたら「始める」をクリックします。

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以上の設定で、ChromeOS Flexが起動します。

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最初に設定しておきたい項目

ChromeOS Flexが無事起動したら、さっそく利用を開始できますが、最初に以下を設定しておくとより使いやすくなるでしょう。

  • ディスプレイ解像度の調整
  • ごみ箱機能を有効化
  • PINの設定

ディスプレイ解像度を変更する

ディスプレイ解像度を変更するときは、画面右下の通知領域をクリックし、表示されたウィンドウから「設定」アイコンをクリックします。

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「設定」アプリが起動するので「デバイス」>「ディスプレイ」を開きます。

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ディスプレイの設定画面が表示されるので「内蔵ディスプレイ」欄の「表示サイズ」のスライダーで解像度を調整します。

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ごみ箱を有効化する

ChromeOS Flexでは、デフォルトではごみ箱機能が無いため、ファイルを削除すると復元することはできませんが、Windowsなどと同じようにファイルを削除したらごみ箱に移動するよう設定することができます。

ごみ箱機能を有効化するには、Chromeブラウザを起動してオムニボックス(アドレスバー)に「chrome://frags」と入力しエンターキーを押します。

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試験機能の設定画面が表示されるので、検索ボックスに「trash」と入力し、候補に表示される「Enable Files Trash」の設定を「Enabled」に変更して「Restart」をクリックします。

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以上で、ごみ箱機能が有効化され、ファイルアプリにごみ箱が表示されるようになり、ファイルなどを削除すると、自動的にごみ箱に移動されるようになります。

なお、ごみ箱内のデータは30日たつと自動的に消去されます。

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PINでロックを解除できるようにする

ChromeOS Flexでは、通常、画面のロックを解除するときは、Googleアカウントのパスワードを入力する必要がありますが、Googleアカウントのパスワードには、複雑なパスワードを設定して安全性を高めていることが多く、複雑なパスワードをロック解除のたびに入力するのは大変です。

そんな時は、PINを設定しておけば、すばやく画面のロックを解除することができ、ログイン時以外でGoogleアカウントのパスワードを入力せずに済み、セキュリティ的にも安心です。

PINを設定するときは「設定」アプリを開き「セキュリティとプライバシー」から「画面をロック」を開きます。

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パスワードの再入力画面が表示されるので、ChromeOS Flexのログインに使用しているGoogleアカウントのパスワードを入力し「確認」をクリックします。

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「画面をロック」の設定画面が表示されるので、画面ロックの種類で「PIN またはパスワード」を選択して「PINを設定」をクリックします。

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PINの入力画面が表示されるので、6桁以上の数字でPINを設定します。

ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

設定が完了すれば、ロック画面でパスワードだけでなく、PINを入力してロックを解除できるようになります。

ChromeOS Flexのインストール~初期設定までの手順を解説

ここまで設定できたら、あとはChromeウェブストアから、お好みのアプリをインストールすればOKです。

なお、ChromeOS FlexでLinux開発環境を利用したいときは、ChromeOS Flexをパソコンにインストールした上で有効化する必要があります。

ちなみに、Linux開発環境を有効化すれば、Linux対応のアプリをインストールして利用することもできます。

あとがき

まだ開発版ということで、利用するパソコンによっては動作が安定しないこともあるようですが、わたしがChromeOS FlexをインストールしたWindows 7向けのノートパソコン(Acer Aspire One)は、順調に稼働しております。

ChromeOS Flexが気になっているという方は、是非お試しあれ。