Windows 10や11で、ファイルを圧縮・展開(解凍)する場合、サードパーティーの圧縮・展開ツールを利用している方も多いと思いますが、標準機能でもファイルをZIP圧縮したりZIPファイルを展開することが可能です。
そこでここでは、Windowsの標準機能でZIPファイルを作成する方法や、ZIPファイルを展開する方法を紹介します。
目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 22H2 |
ZIPファイルを作成する
マウス操作で作成する
マウス操作でファイルをZIP圧縮するときは、圧縮したいファイルを選択した状態で、右クリックメニューの「送る」から「圧縮(zip形式)フォルダー」をクリックします。
たとえば、デスクトップのファイルを圧縮する場合の画像は、次のとおりです。
すると、選択したファイルと同じフォルダーにZIPファイルが作成されます。
すでにあるZIPファイルにファイルやフォルダーをドラッグ&ドロップすれば、ZIPファイルに追加することができます。
PowerShellコマンドレットで作成する
PowerShellコマンドレットでファイルをZIP圧縮するときは「Compress-Archive」コマンドレット利用します。
Compress-Archive | Microsoft Docs
基本的な書式は、次のとおりです。
PS> Compress-Archive -Path <圧縮したいファイル> -DestinationPath <出力ファイル名>
「-Path」オプションで圧縮するファイルやフォルダーを指定し「-DestinationPath」オプションで出力するファイル名を指定します。
単一ファイルを圧縮する
単一のファイルを圧縮する場合は、次のように実行します。
PS> Compress-Archive -Path E:sample.txt -DestinationPath E:test.zip
複数ファイルを圧縮する
複数のファイルを圧縮する場合は、カンマ区切りで複数ファイルを指定するか、ワイルドカードで指定することができます。
PS> Compress-Archive -Path E:sample.txt, E:samaple2.txt -DestinationPath E:test2.zip
PS> Compress-Archive -Path E:*.txt -DestinationPath test3.zip
ワイルドカードを使用したくないとき
意図しないファイルが対象とならないよう、意識的にワイルドカードを使用しない場合は、「-Path」オプションの代わりに「-LiteralPath」オプションを利用します。
PS> Compress-Archive -LiteralPath E:sample.txt, E:samaple2.txt -DestinationPath E:test2.zip
圧縮するファイルをパイプで渡す
圧縮するファイルは、パイプで渡すこともできます。
PS> Get-ChildItem E:*.txt | Compress-Archive -DestinationPath test4.zip
既存のZIPファイルにファイルを追加する
「-Update」オプションを利用すると、既存のZIPファイルにファイルを追加できます。
PS> Compress-Archive -Path E:sample3.txt -DestinationPath E:test3.zip -Update
圧縮レベルを指定する
「-CompressionLevel」オプションを利用すると、圧縮率や圧縮スピードを指定できます。
指定可能な値は、次のとおりです。
- Optimal - 最適な圧縮率を使用します。(デフォルト)
- Fastest - 処理時間が最速となる圧縮率を使用します。
- NoCompression - 圧縮は行わず、書庫化だけを行います。
PS> Compress-Archive -Path E:*.txt -DestinationPath test3.zip -CompressionLevel Fastest
ZIPファイルを展開(解凍)する
マウス操作で展開する
マウス操作でZIPファイルを展開するときは、ZIPファイルを右クリックして、メニューから「すべて展開」をクリックします。
すると「展開先の選択とファイルの展開」画面が表示されるので、展開先のフォルダーを指定して「展開」をクリックします。
なお、デフォルトの展開先は、ZIPファイルと同じ場所にZIPファイルと同じ名前のフォルダーが生成され、そこに展開されます。
パスワード付きZIPファイルを展開するときは、以下のようにパスワードの入力画面が表示されるので、解凍パスワードを入力して「OK」をクリックします。
以上で、指定したフォルダーにZIPファイルが展開されます。
最新のWindows 11なら(パスワード付き)ZIPファイルだけでなく、tarやgz、rar、7zといった圧縮ファイルも上と同じ手順で展開できます。
Windowsコマンドで展開する
Windows 10や11には、Linux環境等でアーカイブファイルの作成や展開で利用されるtarコマンドが標準搭載されており、このコマンドでZIPファイルやパスワード付きZIPファイルを展開できます。
たとえば「E:¥test3.zip」ファイルを展開したいときは、以下のようにコマンドを実行することで、カレントディレクトリ「C:¥」にファイルが展開されます。
C:\> tar -xf E:¥test3.zip
なお、パスワード付きZIPファイルを展開すると「Enter passphrase:」と表示されるので、解凍パスワードを入力することで展開できます。
PowerShellコマンドレットで展開する
PowerShellコマンドレットでZIPファイルを展開するときは「Expand-Archive」コマンドレットを利用します。(なお「Expand-Archive」コマンドレットは、パスワード付きZIPファイルは展開できません。)
Expand-Archive | Microsoft Docs
基本的な書式は、次のとおりです。
PS> Expand-Archive -Path <ZIPファイル> -DestinationPath <展開先フォルダー>
「-Path」オプションでZIPファイルを指定し「-DestinationPath」オプションで展開先のフォルダーを指定します。
PS> Expand-Archive -Path E:test.zip -DestinationPath E:test
「-DestinationPath」オプションを指定せずに実行すると、カレントディレクトリにZIPファイル名と同名のフォルダーが作成され、その中に解凍されます。
以下の例では、Cドライブ直下に「test」という名前のフォルダーが作成され、その中に解凍されます。
PS> Expand-Archive -Path E:Test.zip
展開先のフォルダーに同名のファイルがある場合、そのまま展開するとエラーとなるため、上書きする場合は「-Force」オプションを使用します。
PS> Expand-Archive -Path E:Test.zip -DestinationPath E:test -Force
あとがき
なお、パスワード付きZIPファイルは作成するときは、サードパーティーの圧縮・解凍ツールを利用しましょう。