WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

WindowsPE(以下、WinPE)は、最小限の機能のみを搭載したWindowsベースの軽量OSで、Windows OSのインストールや展開、修復などで役立つ便利ツールです。

ですが、WinPEメディアは配布されていないため、自分で作成する必要があります。

そこでここでは、Windows 10でWinPEメディアを作成する方法を紹介します。

Windows ADKの入手とインストール

まず、作業用のWindowsマシンに、WinPEメディアを作成するためのツール「Windows ADK」をインストールします。

以下のサイトから「Windows ADK」と「Windows ADKのWindows PEアドオン」のインストーラーをダウンロードして、順にインストールします。

Windows ADK のダウンロードとインストール | Microsoft Docs

Windows ADKのインストール

ダウンロードしたインストーラーを実行して、Windows ADKをインストールします。

なお、このインストーラーはWebインストーラーのため、インターネットアクセスが可能な状態でインストールを行う必要があります。

インストールウィザードでは、インストールする機能を選択する画面で「Deployment Tools」にチェックを入れてインストールを行います。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

その他の設定は、デフォルトのままで問題ありません。

Windows ADKのWindows PEアドオン

ダウンロードしたインストーラーを実行して、Windows ADKのWindows PEアドオンをインストールします。

なお、このインストーラーもWebインストーラーのため、インターネットアクセスが可能な状態でインストールを行う必要があります。

インストールウィザードは、デフォルトの設定のまま進めて問題ありません。

WinPE用データの作成

Windows ADKをインストールしたら、スタートメニューのプログラム一覧から「Windows Kit」>「展開およびイメージングツール環境」を、右クリックメニューから管理者として実行します。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

イメージングツール環境が起動したら、以下のコマンドを実行して、WinPE用のデータを作成します。

> copype amd64 C:\WinPE_amd64

データの作成は10秒ほどで完了し、画面に「Success」と表示されていればOKです。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

ブートイメージのカスタマイズ(省略可)

WinPEは、デフォルトは英語表示で、組み込まれるモジュールも最小限のため、日本語キーボードも認識されず、日本語表示もできず使い勝手がイマイチです。

そこで、言語パックやモジュールなどを追加して使いやすくします。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

デフォルトのWinPE

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

日本語表示できるようにしたWinPE

ブートイメージのマウント

先ほどのイメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを実行し、WinPEのブートイメージをマウントします。

> Dism /Mount-Image /ImageFile:"C:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim" /index:1 /MountDir:"C:\WinPE_amd64\mount"

コマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

ブートイメージをマウントしたら、マウントを解除するまでイメージングツール環境の画面を閉じないでください。

マウントを解除せずに画面を閉じてしまうと、イメージがマウントされたままとなり、その後の処理ができなくなってしまいます。

もし、誤ってアンマウントせずにイメージングツール環境を閉じてしまった場合は、コマンド「dism /cleanup-wim」を実行し、強制的にマウントを解除して作業をやり直します。

モジュールの組み込み

ブートイメージをマウントしたら、イメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを順に実行して、必要なモジュールを組み込みます。

> set ADK_PATH=C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Assessment and Deployment Kit\Windows Preinstallation Environment\amd64\WinPE_OCs
> set WA_DIR=C:\WinPE_amd64\mount

> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jplp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-FontSupport-JA-JP.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WMI.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-WMI_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-NetFx.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-NetFx_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-Scripting.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-Scripting_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-PowerShell.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-PowerShell_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-DismCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-DismCmdlets_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-SecureBootCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WDS-Tools.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-WDS-Tools_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Enable-Feature /FeatureName:SMB1Protocol
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Allintl:ja-jp
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Inputlocale:0411:00000411
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Layereddriver:6
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Timezone:"Tokyo Standard Time"

それぞれのコマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

これ以外にも、WinPEではデバイスドライバーを組み込んだり、アプリを組み込んだりなどのカスタマイズが可能です。

それぞれのカスタマイズ方法については、以下の公式サイトが参考になります。

WinPE:マウントし、カスタマイズ | Microsoft Docs

ブートイメージのマウントを解除

カスタマイズが完了したら、カスタマイズ内容をブートイメージに適用して、ブートイメージをマウントを解除します。

> Dism /unmount-image /mountdir:C:\WinPE_amd64\mount /commit

コマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

WindowsPE(WinPE)メディアを作成する方法

イメージファイルの作成

最後に、以下のコマンドを実行し、イメージファイルを作成します。

> MakeWinPEMedia /ISO C:\WinPE_amd64 C:\WinPE_amd64.iso

起動可能なUSBメモリとして作成したい場合は、以下のコマンドを実行します。

> MakeWinPEMedia /UFD C:\WinPE_amd64 {USBメモリのドライブレター}:

以上で、作業完了です。

作成したイメージファイルは、CDやDVDに書き込めば、WinPEをCDやDVDから起動でき、USBメモリとして作成した場合は、USBメモリからWinPEを起動できます。

あとがき

WinPEメディアを1枚用意しておけば、万が一Windowsマシンが起動できなくなっても、WinPEメディアからマシンを起動して、システムを修復したり、データを救出したりといった対応が可能になります。

企業でWindows環境を運用管理している方だけでなく、家庭でWindowsマシンを利用している方も、作成しておくといざというときに役立ちますよ。

参考

WinPE:パッケージの追加 (オプション コンポーネント リファレンス) | Microsoft Docs

DISM の言語と地域と言語サービスのコマンド ライン オプション | Microsoft Docs

WinPE:起動可能なメディアの作成 | Microsoft Docs