
WindowsPE(以下、WinPE)は、最小限の機能のみを搭載したWindowsベースの軽量OSで、Windows OSのインストールや展開、修復などで役立つ便利ツールですが、WinPEメディアそのものは配布されていないため、自分で作成する必要があります。
そこでここでは、Windows 11でWinPEメディアを作成する手順を解説します。
目次
Windows ADKの入手とインストール
まず、作業用のWindowsマシンに、WinPEメディアを作成するためのツール「Windows ADK」をインストールします。
以下のサイトから「Windows ADK」と「Windows ADKのWindows PEアドオン」のインストーラーをダウンロードして、順にインストールします。
Windows ADK のダウンロードとインストール | Microsoft Docs
Windows ADKのインストール
Windows ADKのインストーラーはWebインストーラーのため、インターネット接続が可能な状態でインストールします。
インストールウィザードでは、インストールする機能を選択する画面で「Deployment Tools」にチェックを入れてインストールを行います。

その他の設定は、デフォルトのままで問題ありません。
Windows ADKのWindows PEアドオンのインストール
Windows ADKをインストールしたら、次にWindows ADKのWindows PEアドオンをインストールします。なお、このインストーラーもWebインストーラーのため、インターネット接続が可能な状態でインストールします。
インストールウィザードは、デフォルトの設定のまま進めて問題ありません。
WindowsPEメディアの作成
Windows ADKをインストールしたら、スタートメニューのプログラム一覧から「Windows Kit」>「展開およびイメージングツール環境」を、右クリックメニューから管理者として実行すると、コマンドプロンプト画面が表示されるので、この画面上で作業を実施します。
WinPE用のデータの作成
まず、以下のコマンドを実行して、WinPEの元となるデータを作成します。(ここではデータを「E:\WinPE_amd64」に作成していますが、ご自身の環境に応じて任意のフォルダーを指定してください。)
> copype amd64 E:\WinPE_amd64データの作成は数十秒ほどで完了し、画面に「Successfully」と表示されればOKです。
日本語環境向けカスタマイズ
WinPEはデフォルトでは日本語環境に必要な機能がインストールされておらず英語表示で使いにくいため、言語パックやモジュールなどを追加して使いやすくします。

デフォルトのWinPE

日本語表示できるようにしたWinPE
ブートイメージのマウント
カスタマイズを行うには、まず、先ほどのイメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを実行し、WinPEのブートイメージをマウントします。
> Dism /Mount-Image /ImageFile:"E:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim" /index:1 /MountDir:"E:\WinPE_amd64\mount"コマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されれば、正常にマウントされています。
ブートイメージをマウントしたら、すべてのカスタマイズが完了してマウントを解除するまでイメージングツール環境の画面を閉じないでください。
マウントを解除せずに画面を閉じてしまうと、イメージがマウントされたままとなり、その後の処理ができなくなってしまいます。
もし、誤ってマウントしたままイメージングツール環境を閉じてしまった場合は、コマンド「dism /cleanup-wim」を実行し、強制的にマウントを解除して作業をやり直します。
カスタマイズの実行
ブートイメージをマウントしたら、イメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを順に実行して、日本語環境で必要なモジュールを組み込みます。
> set ADK_PATH=C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Assessment and Deployment Kit\Windows Preinstallation Environment\amd64\WinPE_OCs\
> set WA_DIR=E:\WinPE_amd64\mount
> rem 日本語化
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\lp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-FontSupport-JA-JP.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Allintl:ja-jp
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Inputlocale:0411:00000411
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Layereddriver:6
> rem 機能追加
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WMI.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-WMI_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-NetFx.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-NetFx_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-Scripting.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-Scripting_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-PowerShell.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-PowerShell_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-DismCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-DismCmdlets_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-SecureBootCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WDS-Tools.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jp\WinPE-WDS-Tools_ja-jp.cab"
> rem タイムゾーン設定
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Timezone:"Tokyo Standard Time"それぞれのコマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。
これ以外にも、デバイスドライバーを組み込んだり、アプリを組み込むといったカスタマイズが可能です。WinPEのカスタマイズ方法については、以下の公式サイトを参考にするとよいでしょう。
WinPE:マウントし、カスタマイズ | Microsoft Docs
ブートイメージのマウントを解除
カスタマイズが完了したら、以下のコマンドを実行してカスタマイズ内容をブートイメージに反映し、ブートイメージのマウントを解除します。
> Dism /unmount-image /mountdir:E:\WinPE_amd64\mount /commitコマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。
イメージファイルの作成
最後に、以下のコマンドを実行し、WinPEのイメージファイル(ISO)を作成します。
> MakeWinPEMedia /ISO E:\WinPE_amd64 E:\WinPE_amd64.iso
起動可能なUSBメモリとして作成したい場合は、USBメモリを接続してから以下のコマンドを実行します。
> MakeWinPEMedia /UFD E:\WinPE_amd64 {USBメモリのドライブレター}:
以上で、作業完了です。
作成したISOイメージファイルは、CDやDVDに書き込めば、WinPEをCDやDVDから起動でき、USBメモリとして作成した場合は、USBメモリからWinPEを起動できます。
あとがき
企業でWindows環境を運用管理している方だけでなく、家庭でWindowsマシンを利用している方も、WinPEメディアを1本用意しておけば、万が一Windowsマシンが起動できなくなっても、WinPEメディアからマシンを起動して、システムを修復したりデータを救出したりといった対応が可能になります。