Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

WindowsPE(以下、WinPE)for Windows 10は、最小限の機能のみを搭載したWindowsベースの軽量OSで、Windows OSのインストール・展開や、修復などで役立つ便利ツールです。

ですが、WinPEメディア自体は配布されておらず、自分で作成する必要があります。

そこでここでは「Windows ADK for Windows 10 バージョン 1903」を使って、WinPEメディアを作成する方法を紹介します。

「Windows ADK」の入手とインストール

まず、作業用のWindowsマシンに、WinPEメディアを作成するためのツール「Windows ADK」をインストールします。

以下のサイトから「Windows ADK for Windows 10、バージョン 1903」と「ADK 用の Windows PE アドオン」をダウンロードして、順にインストールします。

Windows ADK のダウンロードとインストール | Microsoft Docs

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

Windows ADK for Windows 10、バージョン 1903

ダウンロードしたインストーラー「adksetup.exe」を実行してインストールします。

なお、このファイルはWebインストーラーのため、インターネットアクセスが可能な状態でインストールを行う必要があります。

インストールウィザードでは、インストールする機能を選択する画面で「Deployment Tools」にチェックを入れてインストールを行います。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

その他の設定は、デフォルトのままで問題ありません。

ADK 用の Windows PE アドオン

ダウンロードしたインストーラー「adkwinpesetup.exe」を実行してインストールします。

なお、このファイルもWebインストーラーのため、インターネットアクセスが可能な状態でインストールを行う必要があります。

インストールウィザードは、デフォルトの設定のまま進めて問題ありません。

WinPE用データの作成

「Windows ADK」をインストールしたら、スタートメニューのプログラム一覧から「Windows Kit」>「展開およびイメージングツール環境」を、右クリックメニューから管理者として実行します。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

イメージングツール環境が起動したら、以下のコマンドを実行して、WinPE用のデータを作成します。

> copype amd64 C:\WinPE_amd64

データの作成は10秒ほどで完了し、画面に「Success」と表示されていればOKです。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

ブートイメージをカスタマイズする(省略可)

WinPEは、デフォルトは英語表示で、組み込まれるモジュールも最小限のため、日本語キーボードも認識されず、日本語表示もできず使い勝手がイマイチです。

そこで、言語パックやモジュールなどを追加して使いやすくします。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

デフォルトのWinPE

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

日本語表示できるようにしたWinPE

ブートイメージをマウントする

先ほどのイメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを実行し、WinPEのブートイメージをマウントします。

> Dism /Mount-Image /ImageFile:"C:\WinPE_amd64\media\sources\boot.wim" /index:1 /MountDir:"C:\WinPE_amd64\mount"

コマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

注意事項:

ブートイメージをマウントしたら、アンマウントするまでイメージングツール環境の画面を閉じないでください。

アンマウントせずに画面を閉じてしまうと、イメージがマウントされたままとなり、その後の処理ができなくなってしまいます。

もし、誤ってアンマウントせずにイメージングツール環境を閉じてしまった場合は、コマンド「dism /cleanup-wim」を実行し、強制アンマウントして作業をやり直します。

モジュールを組み込む

ブートイメージをマウントしたら、イメージングツール環境の画面で、以下のコマンドを順に実行して、必要なモジュールを組み込みます。

> set ADK_PATH=C:\Program Files (x86)\Windows Kits\10\Assessment and Deployment Kit\Windows Preinstallation Environment\amd64\WinPE_OCs
> set WA_DIR=C:\WinPE_amd64\mount

> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jplp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-FontSupport-JA-JP.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WMI.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-WMI_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-NetFx.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-NetFx_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-Scripting.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-Scripting_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-PowerShell.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-PowerShell_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-DismCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-DismCmdlets_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-SecureBootCmdlets.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%WinPE-WDS-Tools.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Add-Package /Packagepath:"%ADK_PATH%ja-jpWinPE-WDS-Tools_ja-jp.cab"
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Enable-Feature /FeatureName:SMB1Protocol
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Allintl:ja-jp
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Inputlocale:0411:00000411
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Layereddriver:6
> Dism /Image:"%WA_DIR%" /Set-Timezone:"Tokyo Standard Time"

それぞれのコマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

これ以外にも、WinPEではデバイスドライバーを組み込んだり、アプリを組み込んだりなどのカスタマイズが可能です。

それぞれの方法については、以下の公式サイトが参考になります。

WinPE:マウントし、カスタマイズ | Microsoft Docs

ブートイメージをアンマウントする

カスタマイズが完了したら、カスタマイズ内容をブートイメージに適用して、ブートイメージをアンマウントします。

> Dism /unmount-image /mountdir:C:\WinPE_amd64\mount /commit

コマンド実行後「操作は正常に完了しました。」と表示されればOKです。

Windows 10で「WindowsPE(WinPE)メディア」を作成する方法

イメージファイルの作成

最後に、以下のコマンドを実行し、イメージファイルを作成します。

> MakeWinPEMedia /ISO C:\WinPE_amd64 C:\WinPE_amd64.iso

起動可能なUSBメモリとして作成したい場合は、以下のコマンドを実行します。

> MakeWinPEMedia /UFD C:\WinPE_amd64 {USBメモリのドライブレター}:

以上で、作業完了です。

作成したイメージファイルをCDやDVDに書き込めば、WinPEをCDやDVDから起動でき、USBメモリとして作成した場合は、USBメモリからWinPEを起動できます。

あとがき

WinPEメディアを1枚用意しておけば、万が一Windowsマシンが起動できなくなっても、WinPEメディアからマシンを起動して、システムを修復したり、データを救出したりといった対応が可能となります。

企業でWindows環境を運用管理している方だけでなく、家庭でWindowsマシンを利用している方も、作成しておくといざというときに役立ちますよ。

参考

WinPE:パッケージの追加 (オプション コンポーネント リファレンス) | Microsoft Docs

DISM の言語と地域と言語サービスのコマンド ライン オプション | Microsoft Docs

WinPE:起動可能なメディアの作成 | Microsoft Docs