オープンソースのソフトウェアルーター「OpenWRT」では、パッケージを追加することで様々な機能を追加することができ、プロキシサーバー機能もパッケージをインストールすることで追加できます。
そこでここでは、OpenWRTでプロキシサーバーを構築する方法を解説します。なお、OpenWRTの基本的なインストール方法については、以下の記事をご覧ください。

目次
パッケージ(Tinyproxy)の追加
OpenWrtでプロキシサーバーを構築する際にインストールできるパッケージには、いくつかの選択肢(Tinyproxy, Squid, Privoxy)がありますが、ここでは、ハードウェアリソースが少ない環境でも利用できるTinyproxyを利用します。
コマンド操作に慣れているなら、OpenWrtにSSH接続してコマンド操作でパッケージのインストールや設定が可能ですが、以降ではより直感的にインストールや設定を行えるWebインターフェース(LuCI)からの手順を紹介します。
コマンド操作でのインストールや設定手順は、以下の公式サイトのページが参考になるでしょう。
まず、OpenWrtのWebインターフェースに接続して、上部メニューから「システム」>「ソフトウェア」を選択します。
ソフトウェア画面が表示されたら「操作」から「リストを更新」をクリックして、利用可能なパッケージの情報を取得し、次にフィルターに「tinyproxy」と入力します。
すると、tinyproxyに関連するパッケージに絞り込まれるので、以下の3つのパッケージそれぞれの「インストール」ボタンをクリックしてインストールします。
- tinyproxy
- luci-app-tinyproxy
- luci-i18n-tinyproxy-ja
インストールを完了したら、一旦Webインターフェースからログアウトして、再度ログインすると、画面上部に「サービス」というメニューが追加され、配下に「Tinyproxy」が表示されているのでクリックすることで、Tinyproxyの設定が行えます。
Tinyproxyの設定
最低限の設定のみで利用を開始する場合は、まず「一般設定」で「Tinyproxyサーバーを有効にする」と「Syslogを使用する」のチェックをオンにして「保存&適用」をクリックします。
「Syslogを使用する」のチェックをオンにすると、「状態」メニューの「システムログ」からログを確認できるようになります。
なお、個別のログファイルにログを出力させたいときは、コマンド操作で出力するログファイルを設定する必要があります。
次に「フィルタリングとアクセス制御」で「接続を許可するクライアント」に、lanゾーンの(プロキシサーバーを利用するマシンが接続されている)ネットワークアドレスを設定して「保存&適用」をクリックします。
最後に画面上部の「Reload settings into tinyproxy」ボタンをクリックして設定を適用すれば、設定完了です。
なお、Tinyproxyの設定画面から設定できる項目については、以下の画像をご参照ください。

一般設定画面

プライバシー設定画面

フィルタリングとアクセス制御設定画面

サーバー制限設定画面
ファイアウォールの設定
lanゾーンのマシンがwanゾーンを経由して直接インターネットにHTTPやHTTPS接続できるよう設定されている場合は、lanゾーンのマシンはプロキシサーバーを経由した場合のみ、インターネットにHTTPやHTTPS接続できるよう制限して、直接接続は禁止しておくとよいでしょう。
lanゾーンのマシンが直接インターネットにHTTPやHTTPS接続できないようにするには、画面上部の「ネットワーク」>「ファイアウォール」から、以下のような設定でトラフィックルールを作成します。
- プロトコル:TCP
- 送信元ゾーン:lan
- 宛先ゾーン:wan
- 宛先ポート:80 443
- アクション:拒否
クライアントPCの設定
プロキシサーバーを利用するクライアントPCでは、OpenWrtのIPアドレスとTinyproxyのリッスンポート「8888」をプロキシサーバーの情報として設定することで、プロキシサーバー経由でインターネットにHTTP/HTTPS接続できるようになります。
以下は、Windows 10のプロキシ設定画面です。
あとがき
OpenWrtでシンプルかつ軽量なプロキシサーバーを構築したいなら、Tinyproxyが便利です。