パソコンで動画や音声ファイルを再生していると、ファイルによって音量が小さすぎたり、大きすぎるといったケースがあります。
そのような場合、メディアプレイヤーでボリュームを調整するのが一般的ですが、再生するたびに毎回ボリューム調整するのが面倒なら、動画や音声ファイル自体の音量を調整するのがおすすめです。
そこでここでは、コマンド操作でメディアファイルの加工ができる定番ツール「FFmpeg」を使って、動画や音声ファイルの音量を調整する方法を解説します。
目次
FFmpegとは
FFmpegは、音声・動画の録画や変換といった加工処理ができるツールやライブラリから構成されるオープンソースのマルチメディアフレームワークで、コマンド操作で音声ファイルや動画ファイルにさまざまな加工処理を行うことができます。
- 動画や音声の形式(フォーマット)変換
- 動画のコンテナ形式の変換
- 動画品質の変更(フレームレートやビットレートの変更)
- 動画のトリミングやクロップ
- 動画の結合・分割
- 動画や音声の音量調整 など
FFmpegの使い方
ここからは、WindowsにFFmpegをインストールして、動画ファイルや音声ファイルの音量を調整する方法を解説します。
FFmpegのインストール
Windows 10や11にFFmpegをインストールするなら、標準搭載されているコマンドベースのパッケージマネージャー「winget」を使った方法が簡単でおすすめです。
wingetでFFmpegをインストールするときは、コマンドプロンプトやPowerShell(ターミナル)を起動して、以下のコマンドを実行します。
インストール場所を指定しない場合は「-l」オプションの指定は不要です。
> winget install ffmpeg -l "インストール場所"
FFmpegをアップデートしたいときは、以下のようにコマンドを実行します。
> winget upgrade ffmpeg
なお、wingetコマンドでインストールしたアプリは、一般的なアプリと同じようにWindowsの「設定」>「アプリ」からアンインストールできます。(wingetコマンドでアンインストールすることもできます。)
FFmpegで音量を調整
FFmpegで動画ファイルや音声ファイルの音量を調整する場合のコマンドの実行例は、次のとおりです。
現在の音量を確認
動画や音声ファイルの音量を確認したいときは、以下のようにコマンドを実行します。
">" ffmpeg -i <対象のファイル名> -vn -af volumedetect -f null -
コマンドを実行すると、以下のような情報が画面に出力され「max_volume」欄の数値が0dBで最適な音量となります。
たとえば、以下の画面の場合はmax_volumeの数値が-18.5dBなので、18.5dBほど音量を上げることでちょうどよい音量になると判断できます。
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] n_samples: 301826048
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] mean_volume: -41.2 dB
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] max_volume: -18.5 dB
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_18db: 14
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_19db: 67
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_20db: 491
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_21db: 3378
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_22db: 17651
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_23db: 32766
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_24db: 64150
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_25db: 127459
[Parsed_volumedetect_0 @ 000001e5ff771300] histogram_26db: 250651
デシベル単位で音量を調整
デシベル(dB)単位で音量を調整するときは、以下のように実行します。
たとえば、動画ファイルの音量を18.5dB上げたいときは、以下のようにコマンドを実行します。(音量を下げたいときは、マイナスの数値を指定します。)
> ffmpeg -i <入力ファイル名> -vcodec copy -af volume=18.5dB <出力ファイル名>
音声ファイルの音量を18.5dB上げたいときは、以下のようにコマンドを実行します。
> ffmpeg -i <入力ファイル名> -af volume=18.5dB <出力ファイル名>
自動で音量調整
FFmpegには、さまざまなフィルターが用意されており、loudnorm(ラウドネスノーマライザー)フィルターを適用すれば、自動的に程よい音量に調整できます。
たとえば、動画ファイルの場合は、以下のようにコマンドを実行します。
> ffmpeg -i <入力ファイル名> -vcodec copy -af loudnorm <出力ファイル名>
音声ファイルの場合は、、以下のようにコマンドを実行します。
> ffmpeg -i <入力ファイル名> -af volume=18.5dB <出力ファイル名>
あとがき
一般的な動画・音声ファイルなら、loudnorm(ラウドネスノーマライザー)フィルターを使った調整方法お手軽でおすすめです。