Android端末には、近距離でのファイル共有手段としてこれまで「Android Beam」が搭載されていましたが、Androidバージョン10で「Android Beam」機能は廃止されてしまいました。
そこで「Android Beam」に代わる新たな近距離ファイル共有機能が待ち望まれていましたが、やっと最近、Googleから「Nearby Share」という名前の新しい近距離ファイル共有機能のベータテスト(試験提供)が開始されました。
そこで、ここではAndroid端末2台を利用して「Neaby Share」機能を試してみたいと思います。

目次
動作環境
この記事は、以下の環境での動作結果を基にしています。他の機種やバージョンでは、操作方法や動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Google Nexus 5X(Android) | 8.1.0 |
Google Nexus 9(Android) | 7.1.1 |
「Nearby Share」とは
「Nearby Share」は、Googleが提供を予定している新しい近距離データ共有機能で、現在ベータテスト(試験提供)が開始されています。
現時点での「Nearby Share」機能の主な特徴は、次のとおりです。
- iOS間で利用できる「AirDrop」と同じように、Bluetoothを介して接続を開始し、Wi-Fi Directに切り替えてデータ転送するモードをはじめ、ファイルサイズに応じた3種類の転送モードがあります。
- 通信可能な距離は、約30cm程度です。
- 「Nearby Share」機能は、OSの機能としてではなくGoogle Playを通じて配信されるアプリとして提供され、Androidバージョン6以降の「Google Play開発者サービス」がインストールされている端末で使用可能です。
- 共有可能なデータは、画像ファイルや動画ファイル、ツイート、URLなどで、複数ファイルの一括共有も可能なようです。
- Androidだけでなく、ChromeOSやChromeブラウザなどのプラットフォームでの提供も予定されているようです。
- 正式な提供開始日についてはまだ発表されていません。(2020年7月6日現在)
「Nearby Share」の使い方
「Google Play開発者サービス」の更新
「Nearby Share」機能は、Android端末では「Google Play開発者サービス」アプリによって提供され、いますぐ「Nearby Share」機能を利用するには、このアプリのベータテスターに登録して「Google Play開発者サービス」アプリをベータ版へ更新する必要があります。
Google Play開発者サービス - Google Play のアプリ
なお「Google Play開発者サービス」をベータ版へ更新したら、端末を再起動する必要がありそうです。
データ共有手順
「Nearby Share」でのデータ共有方法はとてもシンプルです。
まず、送信側の端末で任意のアプリから共有したいデータを選択した状態で共有メニューを表示し、一覧から「周辺ユーザーとの共有」をタップします。
すると、送信可能な相手を選択する画面が表示されるので、送信先をタップします。
受信側の端末には、データ受信を許可するか否かの画面が表示されるので「同意する」をタップすることでデータを受信できます。
以上が、基本的なデータ共有方法です。
「Nearby Share」の設定
「Nearby Share」の設定画面は、共有時に表示される画面のアカウントアイコンからや、Androidの「設定」>「接続済みの端末」>「周辺ユーザーとの共有」から開くことができます。


「Nearby Share」の設定画面では、次のような設定が可能です。
- 「Nearby Share」機能のオン/オフ
- 利用するGoogleアカウントの選択
- デバイス名の設定(共有先に表示する名前)
- デバイスの公開設定
- 共有方法
デバイスの公開設定
「デバイスの公開設定」では、自分の端末を他の端末に自動的に表示させるかどうかを設定でき、以下の3つのオプションから選択可能です。
- すべての連絡先
- 一部の連絡先
- 非表示
「すべての連絡先」「一部の連絡先」を選択した場合は、許可された相手の端末には、自動的に自分の端末が表示されます。
「非表示」を選択した場合は「Nearby Share」を起動して待機状態にしない限り、自分の端末が他の端末に表示されることはありません。
いずれの公開範囲を設定しても、見ず知らずの人から勝手データを送信されるといった、AirDropで問題となった「AirDrop痴漢」に見舞われる心配はまずなさそうです。
データ送信方法の設定
データ送信方法としては、以下の3つの方法から選択できます。
- モバイルデータ通信で共有(デフォルト)
- Wi-Fiで共有
- インターネットを使用しないオフライン共有
あとがき
Android Beamに比べると、データ転送速度も速く使い勝手は大きく向上しており、一般公開が待ち遠しいと感じました。
なお、現在はベータテスト段階のため、動作が不安定になる場面もあるようなので、先行して利用される方は、その点を理解した上で利用しましょう。(当方で試してみたところ、Google純正のAndroid端末同士なら問題なく利用できましたが、メーカー製スマホでは正常に利用できませんでした。)