Android端末には、近距離でのファイル共有手段としてこれまで「Android Beam」が搭載されてきましたが、転送速度が遅く使い勝手がいまいちよくありませんでした。
また、Androidバージョン10で「Android Beam」機能は廃止されてしまいました。
ですが、それに代わる新たな近距離共有機能として「ニアバイシェア(Nearby Share)」が利用できるようになりました。
そこでここでは、ニアバイシェア機能を使ってAndroid端末間でデータ転送する方法を紹介します。

目次
動作環境
この記事は、以下の環境での動作結果を基にしています。他の機種やバージョンでは、操作方法や動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Google Nexus 5X(Android) | 8.1.0 |
「ニアバイシェア」とは
「ニアバイシェア」は、GoogleがAndroid向けに提供している新しい近距離共有機能で、現在では、Androidバージョン6以降の「Google Play開発者サービス」がインストールされているほとんどの端末で利用できます。
「ニアバイシェア」の主な特徴は、次のとおりです。
- iOS間で利用できる「AirDrop」と同じように、Bluetoothを介して接続を開始し、Wi-Fi Directに切り替えてデータ転送するモードをはじめ、データサイズに応じた3種類の転送モードが用意されています。
- 通信可能な距離は、30cm程度です。
- 「ニアバイシェア」は、OSの機能としてではなくGoogle Playを通じて配信される「Google Play開発者サービス」アプリの機能として提供されています。
- 共有可能なデータは、画像ファイルや動画ファイル、URLなどのテキストデータで、複数ファイルの一括共有も可能です。
「ニアバイシェア」の初期設定
「Google Play開発者サービス」の更新
「ニアバイシェア」は「Google Play開発者サービス」アプリによって提供されるため、まずは「Play Store」で「Google Play開発者サービス」アプリが最新に更新されているか確認し、更新されていなければ最新版へ更新します。
Wi-Fi、Bluetooth、位置情報の有効化
「ニアバイシェア」を利用するには、Wi-Fi、Bluetooth、位置情報機能のそれぞれを有効化しておく必要があります。
ここでは、それぞれの機能を有効化する手順は割愛させていただきます。
「ニアバイシェア」の設定
「ニアバイシェア」の設定は、Androidの「設定」>「接続済みの端末」>「ニアバイシェア」から設定します。
なお、機種によっては設定画面の場所が異なるのでご注意ください。
「ニアバイシェア」の設定画面が開いたら、次の設定を行います。
- 機能をオンに設定
- 利用するGoogleアカウントの選択
- デバイス名の設定(共有先に表示する自分の端末の名前)
- デバイスの公開設定
- データ通信方法の設定
デバイスの公開設定
「デバイスの公開設定」では、自分の端末を他の端末に自動的に表示させるかどうかを設定でき、以下の3つのオプションから選択可能です。
- すべての連絡先
- 一部の連絡先
- 非公開
「すべての連絡先」「一部の連絡先」を選択した場合は、許可した連絡先の相手とデータ共有するときだけ、相手の端末に自分の端末が自動的に表示されます。
「非公開」を選択した場合は「ニアバイシェア」を明示的に起動して待ち受け状態にしない限り、自分の端末が送信先として他の端末に表示されることはありません。
いずれの公開範囲を設定しても、見ず知らずの人から勝手データを送信されるといった心配はありませんが、個人的には「非公開」に設定しておくことをおススメします。
データ通信方法の設定
「データ通信方法」の設定では、どのような方法でデータを送受信するかを設定でき、以下の3つの方法から選択できます。
- データ通信を併用(デフォルト)
- Wi-Fiのみ
- インターネットを使用しない
送受信するデータのサイズが小さいときに、モバイルデータ通信を併用してもかまわないなら、デフォルト設定のままで問題ないと思いますが、動画などの大容量のファイルを送信することがあるなら「Wi-Fiのみ」に設定しておくのがおススメです。
クイック設定パネルへの追加
「ニアバイシェア」でデータを受信する場合、クイック設定パネルからニアバイシェアを起動して、待ち受け状態にしなければならないケースがあるため、あらかじめクイック設定パネルに「ニアバイシェア」のアイコンを表示させておきましょう。
クイック設定パネルに「ニアバイシェア」のアイコンを表示させには、クイック設定パネル下部にある鉛筆マークのアイコンをタップして、非表示になっているアイコンの中から「ニアバイシェア」を見つけて、表示されるよう設定します。
「ニアバイシェア」でデータ転送する
お互いの端末で設定が済んでいれば、「ニアバイシェア」でのデータ転送はとても簡単です。
まず、送信側の端末で任意のアプリから転送したいデータを選択した状態で共有メニューを表示し、一覧から「ニアバイシェア」をタップします。
すると、受信側の端末に「付近のデバイスが共有中です」という通知が表示されるので、通知をタップするとニアバイシェアが起動して、待ち受け状態になります。
通知が表示されない場合は、クイック設定パネルからニアバイシェアを起動することでも、待ち受け状態にできます。

通知が表示されている画面

待ち受け状態の画面
受信側の端末が待ち受け状態になると、送信側の端末に送信可能な相手として表示されるので、送信先をタップします。
すると、受信側の端末には、送信端末の名前と送信予定のデータ(ファイルならファイル名が表示されます)が表示され、受信を許可するか否かを聞かれるので「同意する」をタップすればデータを受信できます。
受信したデータは、テキストデータならその場でコピーしたり共有することができ、画像などのファイルなら、対応するアプリで開くことができ、受信したファイルは「Download」フォルダーに保存されます。
以上が、基本的なデータ転送方法です。
あとがき
現在は、Android向けのみ機能として提供されていますが、将来的にはChromeOSやChromeブラウザなどへの提供も予定されているようで、そうなるとプラットフォームに関係なくデータ共有が簡単にできるようになりますね。