サーバー向けのLinuxディストリビューションとして人気のある「Ubuntu Server 24.04 LTS版」の基本的なインストール手順を解説します。
目次
インストールメディアの入手
以下の公式ページから、ISOファイルをダウンロードします。
ISOファイルをダウンロードしたら、DVDやUSBメモリに書き込んで、起動可能なインストールメディアを作成します。
ISOファイルをUSBメモリに書き込む場合の手順は、以下の記事をご参照ください。

Ubuntu Serverのインストール
ここでは例として、以下のようなスペックのHyper-V仮想マシンにインストールしていますが、物理マシンにインストールする手順と変わりはありません。
- 第2世代仮想マシン
- 2個の仮想プロセッサ
- 4GBのメモリ
- 40GBの仮想ハードディスク
- DVDのインストールメディアを使用
- セキュアブート(Microsoft UEFI 証明機関)
インストールメディアから起動すると、以下のような画面が表示されるので「Try or Install Ubuntu Server」を選択してEnterキーを押します。
言語
選択肢に日本語は無いので「English(英語)」を選択しEnterキーを押します。
キーボードのレイアウト
キーボードのレイアウトでは「Japanese」を選択してから「Done」を選択してEnterキーを押します。
インストールの種類
ここでは、最小構成でインストールするので「Ubuntu Server (minimized)」を選択してから「Done」を選択してEnterキーを押します。
ネットワーク
ネットワークインターフェースにIPアドレスなどを設定する場合は、ここで設定ができます。(DHCPや手動でのIPアドレス設定が可能)
設定を完了したら「Done」を選択してEnterキーを押します。
プロキシサーバー
プロキシサーバーを使用する場合は、プロキシサーバーアドレスを入力してから「Done」を選択してEnterキーを押します。
ミラーサーバー
パッケージのインストールや更新を行う際に接続するミラーサーバーを指定できます。(通常は、デフォルト設定で問題ありません。)
設定を完了したら「Done」を選択してEnterキーを押します。
ストレージ
OSをインストールするストレージのレイアウトを設定します。(一般的には「User an entire disk」を選択すればOKです。)また「Custom storage layout」を選択すれば、自分でレイアウトを指定できます。
パーティション設定に問題なければ「Done」を選択してEnterキーを押します。
ディスク内のデータが消去されるとの警告が表示されるので「Continue」を選択してEnterキーを押します。
ユーザー
ユーザー、サーバー名、パスワードを設定してEnterキーを押します。
Ubuntu Pro
Ubuntu Proへアップグレードするかを選択してから「Continue」を選択してEnterキーを押します。
Ubuntu Proは、10年間のセキュリティメンテナンスやライブパッチなどのエンタープライズレベルのサポートが利用できるサービスで、個人でも5台まで無償利用できます。
OpenSSH server
OpenSSH serverをインストールするかを選択してから「Done」を選択してEnterキーを押します。
追加パッケージ
ネットワーク設定が済んでいてインターネット接続できる状態なら、以下のように追加のパッケージをインストールできます。
インストール開始
ここまでの設定が終わるとインストールが開始されます。インストールが完了したらインストールメディアを取り出してから再起動します。
Ubuntu Serverの初期設定
ネットワーク設定
OSのインストール時にネットワーク設定を行っていない場合は、以下の手順でネットワーク設定を行います。
まず、以下のコマンドを実行して、ネットワークインターフェース名を確認しておきます。
$ ip a
DHCPで構成する場合は、以下のようにネットワーク設定ファイルを作成します。
$ sudo vi /etc/netplan/99_myconfig.yaml
network:
version: 2
ethernets:
eth0:
dhcp4: true
静的なIPアドレスを設定したい場合は、以下のようにネットワーク設定ファイルを作成します。
$ sudo vi /etc/netplan/99_config.yaml
network:
version: 2
ethernets:
eth0:
dhcp4: false
addresses:
- 172.17.143.230/20
routes:
- to: default
via: 172.17.128.1
nameservers:
addresses:
- 8.8.8.8
- 8.8.4.4
ファイルを作成したら、ファイルの権限を変更してから設定を適用するために以下のコマンドを実行します。
$ sudo chmod 600 /etc/netplan/99_myconfig.yaml
$ sudo netplan apply
YAMLファイルを作成する際の注意点は、インデントやコロンの位置です。たとえば、スペースの数が統一されていなかったり、コロンの後にスペースが入っていないとエラーが発生します。
設定を完了したら、再度以下のコマンドを実行してネットワーク設定が反映されているかを確認します。
$ ip a
1: lo: <LOOPBACK,UP,LOWER_UP> mtu 65536 qdisc noqueue state UNKNOWN group default qlen 1000
link/loopback 00:00:00:00:00:00 brd 00:00:00:00:00:00
inet 127.0.0.1/8 scope host lo
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 ::1/128 scope host noprefixroute
valid_lft forever preferred_lft forever
2: eth0: <BROADCAST,MULTICAST,UP,LOWER_UP> mtu 1500 qdisc mq state UP group default qlen 1000
link/ether 00:15:5d:0a:e5:0e brd ff:ff:ff:ff:ff:ff
inet 172.17.143.230/20 brd 172.17.143.255 scope global eth0
valid_lft forever preferred_lft forever
inet6 fe80::215:5dff:fe0a:e50e/64 scope link
valid_lft forever preferred_lft forever
タイムゾーン設定
システム時刻を日本標準時に設定するときは、以下のコマンドでタイムゾーンを「Asia/Tokyo」に設定します。
$ sudo timedatectl set-timezone Asia/Tokyo
$ timedatectl
Local time: Sat 2025-03-15 23:01:28 JST
Universal time: Sat 2025-03-15 14:01:28 UTC
RTC time: Sat 2025-03-15 14:01:27
Time zone: Asia/Tokyo (JST, +0900)
System clock synchronized: yes
NTP service: active
RTC in local TZ: no
システムの更新
ネットワーク設定を完了したら、以下のコマンドを実行してUbuntu Serverを最新の状態に更新します。
> sudo apt update
> sudo apt upgrade
SSHの設定
OSのインストール時にSSHをインストールしていない場合は、以下のコマンドを順に実行することでインストールできます。
> sudo apt install openssh-server
> sudo systemctl enable --now ssh
日本語化
ターミナル接続した際に日本語表示させたいときは、日本語関連パッケージをインストールします。
$ sudo apt install language-pack-ja-base language-pack-ja
日本語関連パッケージをインストールしたら、システムの文字セットを日本語に変更します。
$ localectl set-locale LANG=ja_JP.UTF-8 LANGUAGE="ja_JP:ja"
日本語に変更されているか確認したいときは、ログインし直してpasswdコマンドを実行することで確認できます。
$ passwd
xxx 用にパスワードを変更中:
現在のパスワード: