Windows上でLinuxアプリを利用したりテキスト処理などでLinuxコマンドを使いたいなど、Linux環境を利用したいとき、一昔前だと仮想環境にLinuxの仮想マシンを構築するという方法が一般的でしたが、現在のWindows 10や11ではより簡単にLinux環境を構築してWindowsとも連携できる「WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)」の利用がおすすめです。
そこでここでは、Windows 10でWSL2を使ってLinux環境を構築する手順を紹介します。
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 21H2 |
目次
WSL2のインストール
WSLのインストールは、以前までは機能を有効化してWSLディストリビューションをインストールするといったように、利用するまでの手順が面倒でしたが、現在は管理者としてコマンドプロンプトまたはPowerShellを起動して、wslコマンドを実行するだけで簡単にインストールできます。
「-d」オプション以下を省略して実行すると、Ubuntuが既定のディストリビューションとしてインストールされます。
> wsl --install -d ディストリビューション名
インストール可能なディストリビューションは、以下のコマンドで確認できます。
> wsl --list --online
なお、WSLの初回のインストール後は、Windowsの再起動が必要になります。
Windowsを再起動してサインインすると、自動的にWSL画面が表示され指定したディストリビューションのインストール処理が開始されます。
Linuxディストリビューションの初期設定
ここでは、Linuxディストリビューションとして「Ubuntu」をインストールしたときの初期設定手順を紹介します。
ユーザーとパスワードの設定
ディストリビューションがインストールされると、以下のようなターミナルウィンドウが開くので、ユーザー名とパスワードを設定します。
パッケージの更新
ユーザー名とパスワードの設定が完了したら、続けて以下のコマンドを順に実行してUbuntuの更新を行います。
$ sudo apt update
$ sudo apt -y upgrade
日本語化
更新が済んだら、次に日本語化を行います。
まずは、以下のコマンドを実行して日本語の言語パックをインストールします。
$ sudo apt -y install language-pack-ja
次に、以下のコマンドを実行してロケールを日本語に設定します。
$ sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF8
ロケールの変更後は、変更を適用するためにいったんターミナルウィンドウをexitコマンドなどで終了してから、もう一度起動します。
ターミナルウィンドウを起動し直したら「locale」コマンドを実行することで、ロケールが変更されたことを確認できます。
日本語マニュアルのインストール
コマンドのヘルプなども日本語化しておきたいときは、日本語のマニュアルドキュメントをインストールしておけば何かと便利です。
日本語マニュアルのパッケージは、以下のコマンドを実行してインストールできます。
> sudo apt -y install manpages-ja manpages-ja-dev
以上で初期設定完了です。
WSL2上のLinuxの起動/終了
WSL2上のLinuxを起動する
WSL2のLinuxディストリビューションを起動するときは、スタートメニューのプログラム一覧から、ディストリビューションをクリックして起動する方法やWindowsターミナルから起動する方法、コマンドプロンプトまたはPowerShellからwslコマンドを実行して起動する方法があります。
wslコマンドで起動する場合、オプションを指定せずに実行すると既定のディストリビューションが起動しますが、複数のディストリビューションをインストールしている場合は「-d」オプションで、ディストリビューションを指定して起動できます。
> wsl -d ディストリビューション名
既定のディストリビューションを変更する
既定のディストリビューションを変更したいときは、まずコマンドプロンプトまたはPowerShellから以下のコマンドを実行して、インストールされているディストリビューションの一覧を確認します。
> wsl --list --verbose
※印が付いているのが既定のディストリビューションです。
つぎに、以下のコマンドを実行して既定のディストリビューションを変更します。
> wsl --set-default ディストリビューション名
WSL2上のLinuxを終了する
WSL2上のLinuxディストリビューションは、ターミナルウィンドウを閉じることで終了できますが、内部で動作しているプログラムのことを考えると、exitコマンドなどを使って終了させるのが安全です。
なお、wslコマンドの「--terminate」オプションや「--shutdown」オプションを使って停止する方法もあります。
ディストリビューションの追加と削除
ディストリビューションの追加
ディストリビューションを追加インストールするときは、WSLをインストールするときと同じコマンドを実行するか、Microsoftストアから追加することもできます。
> wsl --install -d ディストリビューション名
ディストリビューションの削除
インストールしているディストリビューションを削除するときは、まず以下のコマンドを実行してインストール済みのディストリビューション名を確認します。
> wsl --list --verbose
つぎに、以下のコマンドを実行することで、指定したディストリビューションを削除できます。
> wsl --unregister ディストリビューション名
あとがき
WSL2を使うことで、Windows 10やWindows 11で簡単にLinuxを使えるようになり、Windows 11のWSLでは、GUIアプリケーションを動作させることもできます。(Windows 10ではプレビュー中)
WindowsとLinuxを連携させた処理などを行いたいときに重宝しますよ。