Windows 10や11でLinuxを利用したいなら「WSL2」

Windows 10や11でLinuxを利用したいなら「WSL2」

Windows上でLinuxアプリを利用したりテキスト処理などでLinuxコマンドを使いたいなど、Linux環境を利用したい場合、一昔前だと仮想環境にLinuxの仮想マシンを構築するという方法が一般的でしたが、現在のWindows 10や11ではより簡単にLinux環境を構築してWindowsとも連携できる「WSL2(Windows Subsystem for Linux 2)」の利用がおすすめです。

そこでここでは、Windows 10でWSL2を利用するための手順を紹介します。

Windows 10でWindowsコマンドとLinuxコマンドを組み合わせて使う(WSL)
ここでは、Windows 10でコマンドプロンプトからWSLを呼び出して、WindowsコマンドとLinuxコマンドを組み合わせた利用例や、利用時の注意点を紹介したいと思います。

動作環境

この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。

ソフトウェアバージョン
Windows 10 Pro 64bit21H2

WSL2のインストール

WSLのインストールは、以前は機能を有効化してWSLディストリビューションをインストールするといったように、利用するまでの手順が面倒でしたが、現在は管理者としてコマンドプロンプトまたはPowerShellを起動して、wslコマンドを実行することで簡単にインストールできます。

「-d」オプション以下を省略して実行すると、Ubuntuが既定のディストリビューションとしてインストールされます。(初回のインストール時は、Windowsの再起動を要求されます。)

> wsl --install -d ディストリビューション名

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インストール可能なディストリビューションは、以下のコマンドで確認できます。

> wsl --list --online

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ディストリビューションを追加するには

ディストリビューションを追加するときは、WSLをインストールするときと同じコマンドを実行するか、Microsoftストアから追加することもできます。

> wsl --install -d ディストリビューション名

ディストリビューションを削除するには

ディストリビューションを削除するときは、まず以下のコマンドを実行してインストール済みのディストリビューション名を確認します。

> wsl --list --verbose

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つぎに、以下のコマンドを実行することで、指定したディストリビューションを削除できます。

> wsl --unregister ディストリビューション名

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WSL2の初期設定

ここでは、WSLディストリビューションとして「Ubuntu」をインストールしたときに初期設定手順を紹介します。

ユーザーとパスワードの設定

ディストリビューションをインストールすると、以下のようなターミナルウィンドウが開くので、ユーザー名とパスワードを設定します。

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パッケージの更新

ユーザー名とパスワードの設定が完了したら、続けて以下のコマンドを順に実行して更新を行います。

$ sudo apt update
$ sudo apt -y upgrade

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日本語化

更新が済んだら、次に日本語化を行います。

まずは、以下のコマンドを実行して日本語の言語パックをインストールします。

$ sudo apt -y install language-pack-ja

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次に、以下のコマンドを実行してロケールを日本語に設定します。

$ sudo update-locale LANG=ja_JP.UTF8

ロケールの変更後は、変更を適用するためにいったんターミナルウィンドウをexitコマンドなどで終了してから、もう一度起動します。

ターミナルウィンドウを起動し直したら「locale」コマンドを実行することで、ロケールが変更されたことを確認できます。

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日本語マニュアルのインストール

コマンドのヘルプなども日本語化したいときは、日本語のマニュアルドキュメントをインストールしておけば何かと便利でしょう。

日本語マニュアルのパッケージは、以下のコマンドを実行してインストールできます。

> sudo apt -y install manpages-ja manpages-ja-dev

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以上で初期設定完了です。

WSL2の起動/終了方法

WSL2を起動する

WSL2のディストリビューションを起動するときは、スタートメニューのプログラム一覧から、ディストリビューションをクリックして起動する方法と、コマンドプロンプトまたはPowerShellからwslコマンドを実行して起動する方法があります。

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wslコマンドで起動する場合、オプションを指定せずに実行すると既定のディストリビューションが起動しますが、複数のディストリビューションをインストールしている場合は「-d」オプションで、ディストリビューションを指定して起動できます。

> wsl -d ディストリビューション名

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既定のディストリビューションを変更する

既定のディストリビューションを変更したいときは、まずコマンドプロンプトまたはPowerShellから以下のコマンドを実行して、インストールされているディストリビューションの一覧を確認します。

> wsl --list --verbose

※印が付いているディストリビューションが現在の既定です。

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つぎに、以下のコマンドを実行して既定のディストリビューションを変更します。

> wsl --set-default ディストリビューション名

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WSL2を終了する

WSL2は、ディストリビューションのターミナルウィンドウを閉じることで終了できますが、内部で動作しているプログラムのことを考えると、exitコマンドなどを使ってWSLを終了させるほうが安全でしょう。

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なお、wslコマンドの「--terminate」オプションや「--shutdown」オプションを使って停止する方法もあります。

あとがき

WSL2を使うことで、Windows 10やWindows 11で簡単にLinuxを使えるようになり、Windows 11のWSLでは、GUIアプリケーションを動作させることもできます。(Windows 10ではプレビュー中)

WindowsとLinuxを連携させた処理などを行いたいときに重宝しますよ。