ビジネス文書の電子ファイル形式と言えばPDFですが、PDFファイルに押印するとき、いったん紙に印刷してから押印して、再度PDF化するなんて手間のかかる対応を行っている方も多いと思います。
そんなときに活用したいのが、PDFファイルの標準的なビューアーである「Adobe Acrobat Reader DC」を使って、PDFファイルに直接電子印鑑を押印する方法です。
電子印鑑を利用することで、印刷することなくPDFファイルに直接押印することができます。
そこでここでは、Windows版「Adobe Acrobat Reader DC」で、PDFファイルに電子印鑑を押印する方法を紹介します。
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Adobe Acrobat Reader DC | 2021.001.20145 |
目次
スタンプツールで押印
Adobe Acrobat Reader DCの標準搭載機能「スタンプ」を使えば、PDFファイルに日付や検印、名前、部署名、会社名などの電子印鑑を挿入できます。
標準搭載の電子印鑑で押印
スタンプの電子印鑑を利用する手順は、次のとおりです。
まず、押印したいPDFファイル開いて、上部メニューの「ツール」から「スタンプ」を選択します。
すると「スタンプ」ツールのメニューが表示されるので、「スタンプ」をクリックして、メニューから「スタンプ名を表示」にチェックをいれてから、再度メニューから「スタンプ」>「電子印鑑」を開き、利用したい印鑑を選択します。
ここでは例として「日付印(部署と姓、西暦)」を選択します。
すると、ユーザー情報が未入力の場合は、入力画面が表示されるので、必要な情報を入力して「完了」をクリックします。
なお、入力済みのユーザー情報を修正したいときは、「編集」メニューから「環境設定」を選択し、環境設定画面の「ユーザー情報」で編集することができます。
すると、文書上に電子印鑑が表示されるので、押印したい場所に移動させてクリックすることで、電子印鑑を挿入することができます。
なお、挿入した電子印鑑をクリックすれば、サイズを調整すこともできます。
手持ちの電子印鑑で押印
スタンプツールでは、手持ちの電子印鑑をカスタムスタンプとして登録して利用することもできます。手順は、次のとおりです。
まず、登録する電子印鑑をPDFファイル形式で用意してから、押印したいPDFファイル開いて、上部メニューの「ツール」から「スタンプ」を選択します。
すると「スタンプ」ツールのメニューが表示されるので、「カスタムスタンプ」をクリックして、メニューから「作成」をクリックします。
「カスタムスタンプ用の画像を選択」画面が表示されるので「参照」をクリックして、用意したPDF形式の電子印鑑を選択して、表示を確認したら「OK」をクリックします。
「カスタムスタンプを作成」画面が表示されるので「分類」に新しい分類名を入力するか、プルダウンメニューから既存の項目を選択し、「名前」は任意の分かりやす名前を入力し「OK」をクリックします。
ここでは例として、分類を「認印」、名前を「マイスタンプ」で登録します。
これで、電子印鑑がカスタムスタンプとして登録されたので「スタンプ」ツールのメニューから「スタンプパレット」をクリックして、先ほど作成した分類「認印」から、登録した電子印鑑をクリックします。
すると、マウスポインターが電子印鑑の形に変わるので、文書内の押印したい場所でクリックすることで、電子印鑑が挿入されます。
入力と署名ツールで押印
スタンプツールで挿入された電子印鑑は、他の人がファイルを開いて、移動したり削除したりできてしまうため、押印後のPDFファイルを保護するのには向きません。
PDFファイルに押印した電子印鑑を、他の人が「Adobe Acrobat Reader DC」といったビューアーで編集できなくするには、スタンプツールではなく「入力と署名」ツールを使った方法がおすすめです。
入力と署名ツールを使って押印する手順は、次のとおりです。
電子印鑑の登録
入力と署名ツールを使って電子印鑑で押印するには、まず電子印鑑を登録します。手順は、次のとおりです。
電子印鑑を押印したいPDFファイル開いて、上部メニューの「ツール」から「入力と署名」を選択します。
すると「次の操作を指定してください」画面が表示されるので「入力と署名」をクリックします。
「入力と署名」ツールが表示されるので、メニューから「署名」をクリックし「署名を追加」を選択します。
署名の追加画面が表示されるので、上部のメニューから「画像」をクリックし、登録したい電子印鑑の画像ファイルを指定します。
電子印鑑の画像ファイルを指定すると、署名欄に指定した電子印鑑の画像が表示されるので、問題なければ「適用」をクリックします。
ちなみに、左下の「署名を保存」にチェックを入れておくと、署名が保存されて次回から開いているPDFに簡単に署名(電子印鑑)を挿入できるようになります。なお、登録できる署名は一つだけです。
署名ツールで押印
文書画面に戻ると、マウスポインターが登録した電子印鑑の画像になっているので、押印したい場所をクリックして電子印鑑を押印します。
押印した電子印鑑は、ドラッグすることで位置を調整したり、右下の丸印をドラッグするか「A」をクリックして、大きさを調整することができます。
調整が済んだら、PDFファイルを保存して作業完了です。
なお、署名としての挿入した電子印鑑は「Adobe Acrobat Reader DC」といったPDFビューアーでは編集できなくなりますが、「Adobe Acrobat Pro DC」といったPDFファイルの編集ツールを使えば編集できてしまうのでご注意ください。
あとがき
PDFの書類と電子印鑑を上手に活用すれば、業務の効率化やペーパーレス化に大いに役立つでしょう。ご活用あれ。