Linux環境でwgetコマンドといえば、パッケージをダウンロードするときに利用するコマンドというイメージですが、オプションを使いこなすことで、いろいろな使い方ができます。
そこでここでは、その一つとして、Webサイトをオフラインで閲覧できるように、まるごとダウンロードする方法を紹介します。
目次
Webサイトを丸ごとダウンロードする
Webサイトをオフラインで閲覧するために、サイトを丸ごとダウンロードするには、wgetコマンドに以下のオプションを付けて実行します。
# wget -m -p -E -k -np http://sample.site
オプションの説明
短いオプション | 説明 |
---|---|
-m | 長いオプション:--mirror 再帰的にダウンロードします。 |
-p | 長いオプション:--page-requisites 表⽰に必要なCSSや画像もダウンロードします。 |
-E | 長いオプション:--adjust-extension 適切なファイル拡張⼦を付加します。 |
-k | 長いオプション:--convert-links オフラインで閲覧できるように相対パスに変換します。 |
-np | 長いオプション:--no-parent リンク階層を上がらないようにします。 |
wgetコマンドのオプション一覧
以下は、CentOS 7でwgetコマンドのオプションを一覧表示したものです。これらのオプションを見る限り、いろいろな使い方ができそうです。
GNU Wget 1.14, 非対話的ネットワーク転送ソフト
使い方: wget [オプション]... [URL]...
長いオプションで不可欠な引数は短いオプションでも不可欠です。
スタートアップ:
-V, --version バージョン情報を表示して終了する
-h, --help このヘルプを表示する
-b, --background スタート後にバックグラウンドに移行する
-e, --execute=COMMAND `.wgetrc'形式のコマンドを実行する
ログと入力ファイル:
-o, --output-file=FILE ログを FILE に出力する
-a, --append-output=FILE メッセージを FILE に追記する
-d, --debug デバッグ情報を表示する
-q, --quiet 何も出力しない
-v, --verbose 冗長な出力をする (デフォルト)
-nv, --no-verbose 冗長ではなくする
--report-speed=TYPE Output bandwidth as TYPE. TYPE can be bits.
-i, --input-file=FILE FILE の中に指定された URL をダウンロードする
-F, --force-html 入力ファイルを HTML として扱う
-B, --base=URL HTML で入力されたファイル(-i -F)のリンクを
指定した URL の相対 URL として扱う
--config=FILE 設定ファイルを指定する
ダウンロード:
-t, --tries=NUMBER リトライ回数の上限を指定 (0 は無制限).
--retry-connrefused 接続を拒否されてもリトライする
-O, --output-document=FILE FILE に文書を書きこむ
-nc,--no-clobber 存在しているファイルをダウンロードで上書きしない
-c, --continue 部分的にダウンロードしたファイルの続きから始める
--progress=TYPE 進行表示ゲージの種類を TYPE に指定する
-N, --timestamping ローカルにあるファイルよりも新しいファイルだけ取得する
--no-use-server-timestamps ローカル側のファイルのタイムスタンプに
サーバのものを使わない
-S, --server-response サーバの応答を表示する
--spider 何もダウンロードしない
-T, --timeout=SECONDS 全てのタイムアウトを SECONDS 秒に設定する
--dns-timeout=SECS DNS 問い合わせのタイムアウトを SECS 秒に設定する
--connect-timeout=SECS 接続タイムアウトを SECS 秒に設定する
--read-timeout=SECS 読み込みタイムアウトを SECS 秒に設定する
-w, --wait=SECONDS ダウンロード毎に SECONDS 秒待つ
--waitretry=SECONDS リトライ毎に 1〜SECONDS 秒待つ
--random-wait ダウンロード毎に 0.5*WAIT〜1.5*WAIT 秒待つ
--no-proxy プロクシを使わない
-Q, --quota=NUMBER ダウンロードするバイト数の上限を指定する
--bind-address=ADDRESS ローカルアドレスとして ADDRESS (ホスト名か IP) を使う
--limit-rate=RATE ダウンロード速度を RATE に制限する
--no-dns-cache DNS の問い合わせ結果をキャッシュしない
--restrict-file-names=OS OS が許しているファイル名に制限する
--ignore-case ファイル名/ディレクトリ名の比較で大文字小文字を無視する
-4, --inet4-only IPv4 だけを使う
-6, --inet6-only IPv6 だけを使う
--prefer-family=FAMILY 指定したファミリ(IPv6, IPv4, none)で最初に接続する
--user=USER ftp, http のユーザ名を指定する
--password=PASS ftp, http のパスワードを指定する
--ask-password パスワードを別途入力する
--no-iri IRI サポートを使わない
--local-encoding=ENC 指定した ENC を IRI のローカルエンコーディングにする
--remote-encoding=ENC 指定した ENC をデフォルトのリモートエンコーディングにする
--unlink 上書きする前にファイルを削除する
ディレクトリ:
-nd,--no-directories ディレクトリを作らない
-x, --force-directories ディレクトリを強制的に作る
-nH,--no-host-directories ホスト名のディレクトリを作らない
--protocol-directories プロトコル名のディレクトリを作る
-P, --directory-prefix=PREFIX ファイルを PREFIX/ 以下に保存する
--cut-dirs=NUMBER リモートディレクトリ名の NUMBER 階層分を無視する
HTTP オプション:
--http-user=USER http ユーザ名として USER を使う
--http-password=PASS http パスワードとして PASS を使う
--no-cache サーバがキャッシュしたデータを許可しない
--default-page=NAME デフォルトのページ名を NAME に変更します
通常は `index.html' です
-E, --adjust-extension HTML/CSS 文書は適切な拡張子で保存する
--ignore-length `Content-Length' ヘッダを無視する
--header=STRING 送信するヘッダに STRING を追加する
--max-redirect ページで許可する最大転送回数
--proxy-user=USER プロクシユーザ名として USER を使う
--proxy-password=PASS プロクシパスワードとして PASS を使う
--referer=URL Referer を URL に設定する
--save-headers HTTP のヘッダをファイルに保存する
-U, --user-agent=AGENT User-Agent として Wget/VERSION ではなく AGENT を使う
--no-http-keep-alive HTTP の keep-alive (持続的接続) 機能を使わない
--no-cookies クッキーを使わない
--load-cookies=FILE クッキーを FILE から読みこむ
--save-cookies=FILE クッキーを FILE に保存する
--keep-session-cookies セッションだけで用いるクッキーを保持する
--post-data=STRING POST メソッドを用いて STRING を送信する
--post-file=FILE POST メソッドを用いて FILE の中味を送信する
--content-disposition Content-Disposition ヘッダがあれば
ローカルのファイル名として用いる (実験的)
--content-on-error サーバエラー時に受信した内容を出力する
--auth-no-challenge サーバからのチャレンジを待たずに、
Basic認証の情報を送信します。
HTTPS (SSL/TLS) オプション:
--secure-protocol=PR choose secure protocol, one of auto, SSLv2,
SSLv3, TLSv1, TLSv1_1 and TLSv1_2.
--no-check-certificate サーバ証明書を検証しない
--certificate=FILE クライアント証明書として FILE を使う
--certificate-type=TYPE クライアント証明書の種類を TYPE (PEM, DER) に設定する
--private-key=FILE 秘密鍵として FILE を使う
--private-key-type=TYPE 秘密鍵の種類を TYPE (PEM, DER) に設定する
--ca-certificate=FILE CA 証明書として FILE を使う
--ca-directory=DIR CA のハッシュリストが保持されているディレクトリを指定する
--random-file=FILE SSL PRNG の初期化データに使うファイルを指定する
--egd-file=FILE EGD ソケットとして FILE を使う
FTP オプション:
--ftp-user=USER ftp ユーザとして USER を使う
--ftp-password=PASS ftp パスワードとして PASS を使う
--no-remove-listing `.listing' ファイルを削除しない
--no-glob FTP ファイル名のグロブを無効にする
--no-passive-ftp "passive" 転送モードを使わない
--preserve-permissions リモートのファイルパーミッションを保存する
--retr-symlinks 再帰取得中に、シンボリックリンクでリンクされた先のファイルを取得する
WARC オプション:
--warc-file=FILENAME リクエスト/レスポンスデータを .warc.gz ファイルに保存する
--warc-header=STRING warcinfo record に STRING を追加する
--warc-max-size=NUMBER WARC ファイルのサイズの最大値を NUMBER に設定する
--warc-cdx CDX インデックスファイルを書く
--warc-dedup=FILENAME 指定した CDX ファイルに載っている record は保存しない
--no-warc-compression WARC ファイルを GZIP で圧縮しない
--no-warc-digests SHA1 ダイジェストを計算しない
--no-warc-keep-log WARC record にログファイルを保存しない
--warc-tempdir=DIRECTORY WARC 書込時の一時ファイルを置くディレクトリを指定する
再帰ダウンロード:
-r, --recursive 再帰ダウンロードを行う
-l, --level=NUMBER 再帰時の階層の最大の深さを NUMBER に設定する (0 で無制限)
--delete-after ダウンロード終了後、ダウンロードしたファイルを削除する
-k, --convert-links HTML や CSS 中のリンクをローカルを指すように変更する
--backups=N before writing file X, rotate up to N backup files.
-K, --backup-converted リンク変換前のファイルを .orig として保存する
-m, --mirror -N -r -l 0 --no-remove-listing の省略形
-p, --page-requisites HTML を表示するのに必要な全ての画像等も取得する
--strict-comments HTML 中のコメントの処理を厳密にする
再帰ダウンロード時のフィルタ:
-A, --accept=LIST ダウンロードする拡張子をコンマ区切りで指定する
-R, --reject=LIST ダウンロードしない拡張子をコンマ区切りで指定する
--accept-regex=REGEX 許容する URL の正規表現を指定する
--reject-regex=REGEX 拒否する URL の正規表現を指定する
--regex-type=TYPE 正規表現のタイプ (posix|pcre)
-D, --domains=LIST ダウンロードするドメインをコンマ区切りで指定する
--exclude-domains=LIST ダウンロードしないドメインをコンマ区切りで指定する
--follow-ftp HTML 文書中の FTP リンクも取得対象にする
--follow-tags=LIST 取得対象にするタグ名をコンマ区切りで指定する
--ignore-tags=LIST 取得対象にしないタグ名をコンマ区切りで指定する
-H, --span-hosts 再帰中に別のホストもダウンロード対象にする
-L, --relative 相対リンクだけ取得対象にする
-I, --include-directories=LIST 取得対象にするディレクトリを指定する
--trust-server-names ファイル名としてリダイレクト先のURLの最後の部分を使う
-X, --exclude-directories=LIST 取得対象にしないディレクトリを指定する
-np, --no-parent 親ディレクトリを取得対象にしない
あとがき
普段はパッケージのダウンロード以外であまり使うことがないwgetコマンドですが、レジューム機能にも対応しており、ダウンロードの途中から再開することもできます。