最近では、Webサービスなどにログインする際に、セキュリティ強化のために2段階認証を設定するよう促されることも多くなってきました。
2段階認証の方法には、メールやSMSを使った方法などに並んで、スマートフォン向けの認証アプリを使ってワンタイムパスワードを生成する方法が一般的ですが、認証アプリを選ぶときは、データ移行機能を搭載しているかが重要なポイントとなります。
というのも、データ移行機能を搭載していないと、機種変更などの際に、サービス情報を一から登録し直さなければなければならなくなり、これが相当面倒だからです。
そこでここでは、登録情報をバックアップ/復元できる機能を搭載したおすすめの認証アプリを3つ紹介します。
目次
Google認証システム(Google Authenticator)
「Google認証システム(Google Authenticator)」は、GoogleがAndroid、iOS向けに提供している認証アプリで、TOTPに対応した各種Webサービスなどの2段階認証で利用することができます。
Google認証システムの基本的な機能は、他の認証アプリと違いはなく、認証コードの生成がメインですが、特長としては、シンプルな操作性と最新バージョンで実装された登録情報のGoogleアカウントへの同期(バックアップ機能)が挙げられます。
まず、Google認証システムのアプリ画面は、登録したサービスと認証コード/残り時間が一覧表示されているシンプルな画面です。
表示されている認証コードは、ロングタップでクリップボードにコピーでき、あとは表示名を変更したり、登録情報の並べ替えができるぐらいで、操作で迷うことはほぼありません。
最新バージョンで実装された登録情報の同期(バックアップ)は、登録情報をGoogleアカウントに同期でき、別の端末で同じGoogleアカウントへ接続すれば登録情報を復元することができます。(以前までのバージョンのようにGoogleアカウント無しで利用することもできます。)
なお、Android版のGoogle認証システムはアプリロック機能を搭載していないので、不正操作に対しては少しぜい弱なところがあります。(iOS版では、Touch IDなどによるロック解除に対応しています。)
Microsoft Authenticator
「Microsoft Authenticator」は、MicrosoftがAndroid、iOS向けに提供している認証アプリで、TOTPに対応した各種Webサービスなどの2段階認証で利用することができます。
Microsoft Authenticatorの基本的な機能も、他の認証アプリと違いはなく、認証コードの生成がメインですが、特長的な機能としては、以下の3点が挙げられます。
- 登録情報のクラウドバックアップ機能 - Android版ならOneDrive、iOS版ならiCloudに登録情報をバックアップすることができます。(バックアップデータからの復元も可能)
- アプリロック機能 - Microsoft Authenticatorアプリの起動時やバックグラウンドからの復帰時にアプリをロックすることができ、第三者による不正な操作を防ぐことができます。
- 個人または職場/学校のMicorosftアカウントでのサインインの簡略化 - 認証コードの入力なしで、通知を承認するだけで認証できるようになります。
なお、クラウドバックアップ機能には注意点があります。
- Android版では、クラウドバックアップを利用するのに個人用Microsoftアカウントが必要になります。
- Android版のバックアップデータはOneDriveに保存され、iOS版はiCoudに保存されるため、異なるOS間ではバックアップデータからの登録情報の復元はできません。
Microsoft Authenticatorのアプリ画面は、登録したサービスが一覧表示されており、目的のサービスをタップすると認証コードと残り時間が表示され、表示されている認証コードをタップすれば、クリップボードにコピーもできます。
なお、設定を変更すれば一覧画面に認証コードを表示させることもできます。
IIJ SmartKey
「IIJ SmartKey」は、株式会社インターネットイニシアティブがAndroid、iOS向けに提供している認証アプリで、TOTPに対応した各種Webサービスなどの2段階認証で利用することができます。
IIJ SmartKey|スライド認証・ワンタイムパスワード管理
株式会社インターネットイニシアティブは、日本の電気通信事業者で、日本でのインターネット創成期からインターネットサービスプロバイダー(ISP)として広く知られており、最近では「IIJmio」といったMVNO事業も手掛けている国内の企業です。
IIJ SmartKeyの基本的な機能も、他の認証アプリと違いはなく、認証コードの生成がメインですが、特長的な機能としては、登録情報のエクスポート機能やアプリロック機能が挙げられます。
- 登録情報のエクスポート - 登録情報のそれぞれをQRコードとして表示でき、機種変更や認証アプリを変更したときなどに、新しい認証アプリでQRコードを読み込むだけで、カンタンに再登録できます。
- アプリロック機能 - IIJ SmartKeyアプリの起動時やバックグラウンドからの復帰時にアプリをロックして、第三者による不正な操作を防ぐことができます。(Androidではパスコードによる認証、iOS版ではTouch IDに対応しています。)
IIJ SmartKeyのアプリ画面は、画面下部に登録したサービスが一覧表示されており、目的のサービスをタップすると画面中央に認証コードと残り時間が表示され、表示されている認証コードをタップすれば、クリップボードにコピーできます。
なお、個人的な感想ですが、アプリ内のアイコンなどのデザインは、Google認証システムやMicrosoft Authenticatorと比べてダサいです。。
あとがき
登録情報の移行という点で見ると、三者の違いは以下のとおりで、最も汎用性が高いのはIIJ SmartKeyです。
- Google認証システム - 異なるOS間の機種変更でも同じ認証アプリであれば移行可能です。
- Microsoft Authenticator - 同じOS間の機種変更で同じ認証アプリであれば移行可能です。
- IIJ SmartKey - 1件ずつ移行する必要があるので少し面倒ですが、異なるOS間の機種変更で異なる認証アプリでも移行可能です。