Windows 10には、Windowsに何らかのトラブルが発生したときに初期化するためのデータやプログラムが格納されている「回復パーティション」と呼ばれる特別な領域があります。
回復パーティションはWindowsをアップグレードしたときなどに自動的に作成されるため、通常はユーザーが何か手を加えることはありませんが、回復パーティションに格納されているデータに更新プログラムが適用されるときに、回復パーティションのサイズが小さいために更新プログラムが適用できないといったトラブルに見舞われることがあります。
たとえば、2024年1月9日に公開されたセキュリティ更新プログラム「KB5034441」は、回復パーティションのサイズが小さいと「ダウンロード エラー - 0x80070643」などのエラーが発生してインストールできません。
そこでここでは、一般的なWindows 10パソコンを例に回復パーティションのサイズを拡張する方法を紹介します。
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows 10 Pro 64bit | 22H2 |
目次
作業の流れ
ここでは、以下のような一般的なWindows 10のディスクレイアウトのパソコンで、ディスク後方にある回復パーティションのサイズを1024MBに拡張します。(1024MBに拡張しておけば、回復パーティションのサイズが小さいことが原因による更新プログラムのインストールエラーはまず起きません。)
回復パーティションがディスクの前方に存在する場合や、ディスク内に複数の回復パーティションが存在する場合は、ここで紹介している手順では回復パーティションのサイズを拡張できないのでご注意ください。
自分のパソコンのディスクレイアウトは「ディスクの管理」画面で確認できます。
作業の流れは、以下のとおりです。
- Windows回復環境のステータスを確認し、有効化されている場合は無効化する
- Windowsがインストールされたパーティションのサイズを縮小する
- 既存の回復パーティションを削除する
- 新しい回復パーティションを作成する
- Windows回復環境を有効化する
1.Windows回復環境を無効化する
まず、管理者としてコマンドプロンプトを起動して以下のコマンドを実行し、現在のWindows回復環境のステータスを確認します。
> reagentc /info
コマンド実行後、出力情報の「Windows REの状態」欄が「Enabled」なら、以下のコマンドを実行して、Windows回復環境を無効化します。
> reagentc /disable
2.OSパーティションのサイズを縮小する
次に、OSパーティションのサイズを回復パーティションの拡張分だけ縮小します。
まず、コマンドプロンプト画面で以下のコマンドを実行し、Diskpartツールを起動します。
> diskpart
Diskpartツールを起動したら、以下のコマンドを実行してOSがインストールされているディスクの番号を確認します。
> list disk
次に、以下のコマンドを実行してOSがインストールされているディスクを選択します。(ここでは、ディスク1がOSがインストールされているディスクなので「1」を指定しています。)
> select disk 1
次に、以下のコマンドを実行してOSがインストールされているパーティションの番号を確認します。
> list partition
次に、以下のコマンドを実行してOSがインストールされているパーティションを選択します。(ここでは、パーティション3がOSがインストールされているパーティションなので「3」を指定しています。)
> select partition 3
次に、以下のコマンドを実行してOSがインストールされているパーティションのサイズを縮小します。なお、縮小するサイズは「1024MBー現在の回復パーティションのサイズ」です。
以下のコマンドでは、460MB縮小しています。
> shrink desired=460 minimum=460
3.既存の回復パーティションを削除する
次に、既存の回復パーティションを削除するために、以下のコマンドを実行して回復パーティションの番号を確認します。
> list partition
次に、以下のコマンドを実行して回復パーティションを選択します。(ここでは、パーティション4が回復パーティションなので「4」を指定しています。)
> select partition 4
次に、以下のコマンドを実行して現在の回復パーティションを削除します。
> delete partition override
4.新しい回復パーティションを作成する
次に、新しい回復パーティションを作成するために、以下のコマンドを実行して現在選択しているディスクのパーティションスタイルを確認します。
> list disk
コマンド実行後、現在選択しているディスク(ディスク番号の左側にアスタリスク(*)がついているディスク)のGPT列を確認して、GPT列にアスタリスク(*)が付いていればGPTで、付いていなければMBRです。
以下の画面では、GPT列にアスタリスク(*)がついているので、パーティションスタイルはGPTとなります。
パーティションスタイルがGPTの場合は、以下のコマンドを順に実行して新しい回復パーティションを作成します。
> create partition primary id=de94bba4-06d1-4d40-a16a-bfd50179d6ac
> gpt attributes =0x8000000000000001
パーティションスタイルがMBRの場合は、以下のコマンドを実行して新しい回復パーティションを作成します。
> create partition primary id=27
回復パーティションを作成したら、以下のコマンドを実行して作成したパーティションをフォーマットします。
> format quick fs=ntfs label=”Windows RE tools”
パーティションをフォーマットしたら、以下のコマンドを実行して、正常に回復パーティションが作成されたことを確認します。
> list volume
確認が済んだら「exit」と入力してエンターキーを押し、Diskpartツールを終了します。
5.Windows回復環境を有効化する
次に、以下のコマンドを実行してWindows回復環境を有効化します。
> reagentc /enable
最後に、以下のコマンドを実行してWindows回復環境が正常に有効化されたか確認します。
> reagentc /info
コマンド実行後、出力情報の「Windows REの状態」欄が「Enabled」ならOKです。
以上で作業完了です。