Windows 10でアプリをインストールする場合、通常はそれぞれのアプリが配布されているWebサイトからインストーラーをダウンロードしてインストールするという流れになりますが、数が多くなると結構面倒な作業です。
そこでここでは、Windowsパソコンへ複数のアプリを一括インストールしたり更新できるツールやサービスとして「winget(Windows Package Manager)」と「Ninite」を紹介します。
目次
winget(Windows Package Manager)
Windows パッケージ マネージャー | Microsoft Docs
「winget(Windows Package Manager)」は、Microsoftが開発/提供している無料のパッケージ管理ツールで、アプリのインストールや更新といったパッケージの管理をコマンドラインで行うことができます。
wingetでは、スクリプトを使って多数のアプリを一括でインストール/更新することができ、いちいち配布先からパッケージをダウンロードしてインストールする面倒がなく、手早く環境構築を行いたいときに便利なツールです。
なお、wingetは現在の最新バージョンのWindows 10や11に標準搭載されており、wingetリポジトリからインストールできるアプリは現在3,500を超えています。
wingetの使い方
wingetはコマンドラインツールなので「コマンドプロンプト」もしくは「PowerShell」から利用します。
wingetの書式は次のとおりで、基本的にはサブコマンドで何をするかを指定します。
> winget <サブコマンド> <サブコマンドオプション>
以降では、基本的な使い方として、アプリの検索・インストール・更新・アンインストール方法について紹介します。
アプリを探す
インストールするアプリを探すときは「winget show」または「winget search」を利用します。
「winget show」では、インストール可能なアプリの一覧を取得できます。
> winget show > D:¥wingetlist.txt
なお、アプリの一覧は3千行を超えるため、上のようにテキストファイルに出力してから、テキストエディタで開いて検索するほうが良いでしょう。
アプリ名をもとに検索したいときは「winget search」を利用します。
たとえば、Webブラウザ「Google Chrome」を検索したいときは、次のように実行します。
> winget search "Google Chrome"
すると、以下のように検索結果が表示されます。
アプリをインストールする
インストールしたいアプリが見つかったら、次のコマンドを実行してアプリをインストールします。
> winget install -h --force --id <アプリケーションID>
「-h」オプションは、サイレントインストールを指定しており、アプリケーションIDは、アプリを検索したときに確認できます。
たとえば「Google Chrome」をインストールするときは、次のように実行します。
> winget install -h --force --id Google.Chrome
なお、アプリによってはインストール時に管理者権限が必要なものがあり、その場合は管理者権限でコマンドプロンプトやPowerShellを起動してから上のコマンドを実行します。
アプリを更新する
次のコマンド実行すると、更新可能なアプリの一覧を確認できます。
winget以外でインストールしたアプリも、更新可能なら一覧に表示してくれるようです。
> winget upgrade
更新可能なアプリを一括更新するときは、次のようにコマンドを実行します。
> winget upgrade -h --all
特定のアプリのみを更新したいときは、アプリケーションIDを指定して次のようにコマンドを実行します。
> winget upgrade -h --id Google.Chrome
アプリをアンインストールする
次のコマンド実行すると、インストール済みアプリの一覧を確認できます。
> winget list
特定のアプリをアンインストールするときは、アプリケーションIDを指定して、次のようにコマンドを実行します。
> winget uninstall -h --id Google.Chrome
スクリプト化するときは
wigetを利用して、複数のアプリを一括インストールするときは、バッチファイルなどでスクリプト化するのがおすすめです。
以下に、サンプルコードを記載するのでご参考までに。
@echo off
REM Powertoys
winget install -h --force --id Microsoft.Powertoys
if %ERRORLEVEL% NEQ 0 Echo install failure.
REM Terminal
winget install -h --force --id Microsoft.WindowsTerminal
if %ERRORLEVEL% NEQ 0 Echo install failure.
wingetをGUIで利用したいときは
wingetはコマンドラインツールのため、コマンド操作に慣れていないと使いにくいと感じることもあるでしょう。
そのようなときは「WingetUI」を利用することで、wingetをGUI画面で操作できるようになり、コマンド操作に不慣れでも、wingetを利用したアプリのインストールや更新がやりやすくなります。
WingetUIは、以下のGitHubのページからからインストーラー「WingetUI.Installer.exe」をダウンロードしてインストールします。
WingetUIをインストールしたら、スタートメニューのプログラム一覧などから実行すると、以下のような画面が表示されます。
アプリをインストールするときは「Discover Software」タブを選択して、検索ボックスにアプリ名などを入力することで、該当するアプリが一覧表示されるので、インストールしたいアプリを右クリックして、メニューから「Install」を選択することでインストールできます。
また、右クリックメニューから「Show info」を選択すると、次のような画面が表示され、インストールするバージョンを指定することも可能です。
インストール済みアプリをアップデートするときは「Software updates」タブを選択すると、アップデート可能なアプリが一覧表示されるので、アップデートするアプリを右クリックして、メニューから「Update」を選択します。
また「Upgrade all packages」をクリックすれば、アップデート可能なアプリをまとめてアップデートすることもできます。
アプリをアンインストールするときは「Installed applications」タブを選択することで、インストール済みアプリが一覧表示されるので、アンインストールしたいアプリをダブルクリックすることで、アンインストールできます。
Ninite
Ninite - Install or Update Multiple Apps at Once
「Ninite」は、さまざまなアプリケーションのインストールを一発で行ってくれるWindows向けのサービスです。
Niniteの使い方
「Ninite」の使い方は、まずNiniteのWebページで「1. Pick the apps you want」からインストールしたいアプリケーションにチェックを入れます。
つぎに「2. Download and run your custom installer/updater」にある「Get Your Ninite」ボタンをクリックします。
すると、選択したアプリを一括インストールするためのインストーラーをダウンロードできます。
あとは、ダウンロードしたインストーラーを実行すれば、チェックしたアプリケーションを自動的に一括インストールしてくれます。
また、インストールウィザードは自動化されており、何も操作しなくてもインストールが自動的に完了します。通常のインストーラーでは「次へ」ボタンなどをクリックする必要があることを考えると、とても簡単です。
なお、インストールできるアプリケーションやツールは、メジャーどころは網羅されていますが、海外(米国)のサービスなので、一部のソフトウェアで日本語版がインストールされないケースがあるので注意が必要です。
あとがき
wingetもNiniteも、たくさんのPCに同じアプリやツールをインストールしなければならいないようなケースでとても重宝します。
また、Niniteのサービスには「Ninite Pro」という有償サービスもあり、Webブラウザからだけでなく、企業向けの運用管理ツールと連携させて、PCへのアプリケーションの配布や更新を集中管理するといった使い方もできるようです。