PCなどをネットワークに有線接続する場合、LANケーブルを利用しますが、LANケーブルにはカテゴリーや形状などにより、いくつもの種類があります。
そこで、ここではカテゴリーや形状にどのような種類があるのかや、利用シーンにごとに適したLANケーブルの種類を紹介します。
目次
LANケーブルのカテゴリー
LANケーブルにはカテゴリー(CAT)と呼ばれる通信規格があり、カテゴリーにより最大通信速度や伝送帯域に違いがあります。
伝送帯域とは、データを伝達するために使われる周波数の幅広さを示す値で、単位には「Hz(ヘルツ)」が用いられます。
伝送帯域の幅が広いほど単位時間あたりに伝達できる情報量は多く、ノイズの影響を受けにくく、通信速度の低下や通信が不安定になるリスクが低くなります。
CAT5e
最大通信速度:1Gbps 伝送帯域:100MHz
最大通信速度が1Gbpsに対応したネットワーク環境(回線・ネットワーク機器)で、一般的な利用目的であればCAT5eのケーブルで十分な速度を得ることができ、コストパフォーマンスにも優れています。
CAT6
最大通信速度:1Gbps 伝送帯域:250MHz
最大通信速度が1Gbpsに対応したネットワーク環境(回線・ネットワーク機器)で、通信の品質を高めたいなら、CAT6がおススメです。
CAT6は、CAT5eと最大通信速度は同じ1Gbpsですが、伝送帯域が250MHzとCAT5eより2.5倍広いため、通信速度の低下や通信が不安定になるリスクを低くできます。
また、現在ではCAT5eとCAT6の価格差はほとんどないため、CAT5eかCAT6かで悩んだら、CAT6を選んでおけば問題ないでしょう。
CAT6A
最大通信速度:10Gbps 伝送帯域:500MHz
最近では、最大通信速度が1Gbpsを超えるネットワーク環境(回線・ネットワーク機器)を利用するケースも出てきており、そのような環境なら、CAT6Aがコストパフォーマンスに優れています。
CAT7
最大通信速度:10Gbps 伝送帯域:600MHz
最大通信速度が1Gbpsを超えるネットワーク環境(回線・ネットワーク機器)で、通信の品質を高めたいときにはCAT7も選択肢となるでしょう。
CAT7は、CAT6Aと最大通信速度は同じ10Gbpsですが、伝送帯域がCAT6Aより広く、ケーブルの形状もシールドが施されたSTPケーブルのため、通信速度の低下や通信が不安定になるリスクを低くできます。
ただし、ケーブルの価格はCAT6Aより高く、ケーブルの形状がSTPケーブルのため、一般家庭やオフィスを含めて、CAT7を選択する機会は低いでしょう。
CAT7のケーブルは、規格ではコネクタが「GG45(RJ-45と互換性あり)」か「TERA」である必要があり、一般的なRJ-45コネクタを利用したケーブルはCAT7"相当"のケーブルとなります。
CAT8
最大通信速度:40Gbps 伝送帯域:2000MHz
2021年現在の最上位規格で、ノイズ耐性も高く、高速で安定した通信が可能です。
ただし、規格ではコネクタは「GG45(RJ-45と互換性あり)」か「TERA」で、ケーブルの形状もシールドが施されたSTPケーブルである必要があり、ケーブルの価格も高く、利用シーンは、企業の基幹ネットワークなど、ごく一部に限られるでしょう。
LANケーブルの形状
UTP、STP
「UTP」は「Unshielded Twisted Pair」の略で、ノイズ対策のためのシールド処理が施されていないLANケーブルを指します。
「STP」は「Shielded Twisted Pair」の略で、ノイズ対策のためのシールド処理が施されたLANケーブルを指します。
CAT6A以下のケーブルには、UTPタイプとSTPタイプがありますが、一般家庭やオフィスを含めUTPタイプで十分です。
CAT7以上のケーブルの多くはSTPタイプですが、STPタイプのケーブルを利用する場合は、ネットワーク機器側で接地が必要になることから、一般家庭やオフィスを含め利用する機会はあまりありません。
スタンダード、フラット、スリム
「スタンダード」は、直径が5.6mmの最も一般的なLANケーブルの形状で、他の形状に比べてノイズの影響を受けにくいという特長がり、長距離の配線で利用されることが多いです。
なお、スタンダードタイプのケーブルは太く曲げにくいため、取り回しやすさの点では他の形状に劣ります。
「フラット」は、平らな形状のLANケーブルで、カーペットと床の隙間に入れたりなど、取り回しやすさに特長があります。
「スリム」は、スダンダードの2/3ほどの直径のLANケーブルで、柔らかく曲げやすいため、フラットと同様に取り回しやすさに特長があります。
なお、フラットやスリムタイプのLANケーブルは、ノイズへの耐性や強度面ではスタンダードに劣ります。
その他の形状
LANケーブルの形状には、上に挙げた一般的なもの以外にも、以下のような形状があります。
- 高屈曲 - 折り曲げに強い素材(弾力PVC)が用いられており、断線しにくく複雑な配線をするときなどにおススメです。
- 屋外用 - 耐候性に優れた素材が用いられており、屋外にLANケーブルを敷設する必要があるときなどにおススメです。
利用シーン別のおすすめのケーブル
一般家庭やオフィスを問わず、カテゴリー的には、1Gbps以下の通信環境なら「CAT6」1Gbpsを超える環境なら「CAT6A」がおススメです。
形状については「UTPタイプ」で、敷設環境に応じて「スタンダート」「フラット」「スリム」などから選択すればよいでしょう。
あとがき
現時点(2021年1月)では、一般家庭やオフィスを問わず、ほとんどの環境でCAT7以上のケーブルを利用するメリットはなく、CAT6またはCAT6Aで十分ではないでしょうか。