WordPress環境では、本体やテーマに更新(アップデート)が提供されたときは、WordPressの管理画面から更新するというのが一般的な手順となります。
ですが、まれに管理画面でWordPressの更新通知が表示されなくなったりして、管理画面から更新できなくなってしまうことがあります。
そこでここでは、そのような場合にWordPressやテーマを手動で更新する方法をご紹介します。
目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のソフトウェアやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
CentOS | 7.4.1708 |
WordPress | 4.7.5 > 4.8.2 |
更新前のバックアップ
WordPress本体やテーマを更新するときは、なんらかの問題があった時にすぐに復元できるように、現在のWordPress環境をバックアップしておくと安心です。
WordPress環境をバックアップする方法としては、プラグインを利用してバックアップするのがカンタンで便利です。

WordPress本体を手動で更新する
WordPress本体を手動で更新する手順は、つぎのとおりです。
プラグインを停止させる
まず、WordPressの管理画面のメニューから「プラグイン」>「インストール済み」を開き、プラグインをすべて無効化して停止させておきます。
WordPress本体をダウンロードして解凍する
つぎに、SSHなどでWordPressサーバーに接続後、以下のコマンドを順に実行し、最新バージョンのWordPress本体をダウンロードし解凍しておきます。
# cd /tmp
# wget https://ja.wordpress.org/latest-ja.tar.gz
# tar xzfv latest-ja.tar.gz
あらかじめ作業用のPCでダウンロード&解凍しておき、WordPressサーバーに転送してもOKです。
古いデータの削除 その1
つぎに、現在WordPressがインストールされているフォルダーから、下記の3つ以外のファイルを削除します。
- wp-config.php
- .htaccess(ファイルがある場合)
- wp-contentフォルダー
削除が心配な場合は、別のフォルダーに移動させてもOKです。
新しいデータの配置 その1
つぎに、解凍した最新バージョンのWordPress本体のファイルから、以下を現在WordPressがインストールされているフォルダーに配置します。
- wp-admin(フォルダーごと)
- wp-includes(フォルダーごと)
- その他のファイルすべて
古いデータの削除 その2
つぎに、WordPressがインストールされているフォルダーから「wp-content/languages」フォルダーを削除します。
新しいデータの配置 その2
つぎに、解凍した最新バージョンのWordPress本体のファイルから「wp-content/languages」フォルダーをWordPressがインストールされているフォルダーの「wp-content」フォルダーの中に配置します。
所有者を再設定
WordPressがインストールされているフォルダー配下のすべてのオブジェクト所有者を、Webサーバーの実行ユーザーに設定します。
以下のコマンドでは、所有者を「nginx」というユーザーに設定しています。
# chown -R nginx:nginx wordpress
データベースを更新
ファイルやフォルダーの配置が完了したら、WordPressの管理画面(ダッシュボード)にアクセスします。
更新するバージョンによっては、以下のように「データベースの更新が必要です」と表示されることがあり、その場合は「WordPressデータベースを更新」をクリックします。
最後に、停止していたプラグインを有効化し、サイトの正常な表示を確認したら更新完了です。
テーマを手動で更新する
テーマを手動で更新する手順は、つぎのとおりです。
ここではWordPress環境へSSH接続するためのツールとして「WinSCP」を利用し、WordPressテーマ「Simplicity2」を更新しています。
まず、自分が利用しているテーマの最新版を提供元からダウンロードし解凍しておきます。
現在のテーマをバックアップ
つぎに、作業用のパソコンなどからWordPress環境にSSH(SFTP)などで接続し、ディレクトリ「wp-content/themes/」を開き、現在利用しているテーマのディレクトリを作業用のパソコンにバックアップします。
最新版のテーマをアップロード
つぎに、解凍しておいた最新版のテーマを、フォルダーごとディレクトリ「wp-content/themes/」内に「すべて上書き」でアップロードします。
所有者を再設定
アップロードが完了したら、アップロードしたフォルダーのプロパティ画面を開き、所有者やグループをWebサーバーの実行ユーザーに再度統一しておきます。
なお、Webサーバーの実行ユーザー名は、環境により異なります。
最後に、WordPressの管理画面で、テーマの詳細画面でバージョンが更新されたことを確認します。
以上で更新完了です。
あとがき
通常であれば、管理画面から更新するのが一般的ですが、何らかの原因で管理画面から更新できなくなった場合は、ここで紹介しているように手動での更新が必要になる場合もあります。
そのようなときの参考になれば幸いです。