2020年5月28日に一般公開された、Windows10の機能アップデート「Windows 10 May 2020 Update (バージョン2004)」では、新機能の搭載や機能改善などが図られていますが、具体的にどのような変更点があるのか気になっている方も多いのではないでしょうか。
そこで、ここではWindows10 バージョン2004の、おもな変更点を紹介します。
目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows10 Pro 64bit | 2004 |
ネットワークの状態が見やすく
「設定」アプリの「ネットワークとインターネット」>「状態」ページでは、データの使用状況など、より多くの情報を確認できるようになります。
マウスカーソル速度が設定アプリから変更可能に
「設定」アプリの「デバイス」>「マウス」ページから、マウスカーソルの速度を設定できるようになります。
テキストカーソルインジケーター
「設定」アプリの「簡単操作」>「テキストカーソル」で「テキストカーソルインジケーターを有効にする」をオンにすることで、テキストカーソルに色を付けることができるようになりました。
これにより、テキストカーソルがどこにあるか一目瞭然になります。
「配信の最適化」で帯域幅を絶対値で指定可能に
「設定」アプリの「更新とセキュリティ」>「配信の最適化」にある「詳細オプション」では、これまでダウンロードの帯域幅を割合でしか設定できなかったのが、絶対値(XXMbps)で設定できるようになります。
仮想デスクトップ名を変更できるように
「タスクビュー」で、仮想デスクトップを追加したとき、これまでは「デスクトップ1」「デスクトップ2」といった固定された名前でしたが、自分で分かりやすい名前に変更できるようになります。
開いていたアプリの復元が強化
開いていたアプリを再起動後に自動的に復元するオプションが追加され、これまではMicrosoft Officeなどの一部のデスクトップアプリでしかこの機能を利用できませんでしたが、「メール」や「カレンダー」などのUWPアプリも復元されるようになります。
タスクマネージャーの改善
タスクマネージャーの「パフォーマンス」タブでは、ディスクタイプ(HDD、SSD、USBなど)が表示されるようになります。
また、サードパーティーのユーティリティをインストールせずに、グラフィックカードのGPU温度がタスクマネージャー上に表示されるようになります。
パスワードによるサインインを禁止できるように
Microsoftアカウントで「Windows Hello」の生体認証(顔認識または指紋)やPINを使用しているデバイスでは、パスワードによるサインインを禁止できるようになります。
セーフモードでPINが使用できるように
Windows10をセーフモードで起動する場合、従来はパスワードでサインインする必要がありましたが、PINを使用するように設定したデバイスでは、PINでサインインすることも可能になります。
セットアップファイルをクラウドからダウンロード可能に
「このPCを初期状態に戻す」機能では、Windowsの再インストールに利用されるセットアップファイルを、ローカルのセットアップファイルを使うか、クラウドからセットアップファイルをダウンロードするか選択できるようになります。
日本語IMEがより使いやすく
標準の日本語入力システム「Microsoft IME」が新しくなり、候補ウィンドウや設定などのユーザーインタフェイスが刷新され、安全性と安定性も向上するようです。
なお、従来の「Microsoft IME」に戻すことも可能です。

設定画面が、Windowsの設定アプリに統合されます。

IMEツールバー

変換候補をテーブルスタイルで表示可能
Windows Subsystem for Linux 2
現在のWindows Subsystem for Linux(WSL1)を強化した「WSL2」が利用できるようになります。
WSL1との技術的な違いは、詳しく解説しているWebサイトを確認いただくとして、簡潔に違いを言うと、WSL2は、Linuxカーネルが動作する「本物のLinux環境」になったという点です。
これにより、WSL1に比べてLinuxとの互換性が高まり、これまで正しく動作できなかったLinuxアプリケーションのほとんどが、動作できるようになるようです。
参考:
完全なLinuxがWindows 10上で稼働する?「WSL 2」とは:Windows 10 The Latest - @IT
Windows Searchのディスク使用率の改善
Windows10で長年問題となっていた、Windows Searchの検索インデックスの作成時にディスクに過度に負荷がかかってしまう問題が改善され、ディスクの過度な使用や、パフォーマンスの問題が検出された場合、Windows Search Indexerが自動的に動作を抑制する新しいアルゴリズムが導入されます。
これにより、ディスク使用率が過度に高くなることがなくなるようです。
参考:
Windows 10 Version 2004 Fixes One Long-Time Windows Bug | Softpedia
CortanaがOSから独立した機能に
Windows10が初登場した当時注目された、AIアシスタント機能「Cortana」がOSから独立した機能になりました。(現在はまだベータ版ですが)
また、これまで利用できた音楽再生、スマートホーム、サードパーティー製のスキルなどの「消費者向けスキル」は使えなくなるようですが、新しい機能も実装予定のようです。


その他の改善点
上で挙げた項目以外にも、以下のような改善が盛り込まれるようです。
- 2in1PCなどでの操作性の改善
- Windows Inkワークスペースの更新
- フィードバックハブの改善
- ネットワークカメラとWindows10デバイスの関連付け
- Windowsサンドボックスの改善 など
なお、最近では、電卓やメモ帳などの標準搭載されているアプリは、Windowsの更新とは別に、個別で更新される場合が多く、公式ページでバージョン2004の新機能として紹介されている標準搭載アプリの新機能のいくつかは、バージョン1909以下でも利用可能となっています。
参考:
Windows 10 Insider Preview ビルドの新機能 (20H1) - Windows Insider Program | Microsoft Docs
削除される機能
Windows10バージョン2004では、以下の機能が削除されます。
- OSに統合された従来の「Cortana」
- Windows To Go
- 「モバイルプラン」「メッセージング」アプリ
「Cortana」については、OSから切り離されて、独自アプリとして今後も開発されるようです。
参考:
Windows 10 - Features that have been removed - Windows Deployment | Microsoft Docs
Windows To Go: 機能の概要 (Windows 10) - Windows Deployment | Microsoft Docs
開発が終了する機能
Windows10バージョン2004では、以下の機能の開発が終了されます。
- Companion Device Framework
- Legacy Microsoft Edge
- ダイナミックディスク
「Microsoft Edge」は、Chromiumベースの新しいMicrosoft Edgeの提供が開始されており、従来のEgeHTMLベースのLegacy Microsoft Edgeの開発は終了となるようです。
また、Windows2000のころから搭載されていたディスク管理方法の一つである「ダイナミックディスク」の開発も終了され、将来的には「記憶域スペース」に置き換えられるようです。
参考:
Windows 10 features we’re no longer developing - Windows Deployment | Microsoft Docs
Windows Hello とコンパニオンデバイスフレームワーク | Microsoft Docs
あとがき
5月28日に提供が開始されてから、すでにいくつかの不具合が確認されているようなので、安定動作を求める方は、しばらくは様子見が良さそうですね。