2020年1月のWindowsUpdateから、新しいChromium版Microsoft Edgeの配信が開始されます。
これにより、基本的には既存のMicrosoft EdgeがChromium版Edgeに置き換えられてしまうため、既存のMicrosoft Edgeを前提としたWebサービスを利用している場合、動作に影響が出る場合があります。
そこで、ここではWindowsUpdateによる自動更新でMicrosoft EdgeがChromium版へ更新されてしまわないようブロックする方法を紹介します。
目次
動作環境
この記事は、以下の環境で実行した結果を基にしています。他のエディションやバージョンでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。
ソフトウェア | バージョン |
---|---|
Windows10 Pro 64bit | 1909 |
Chromium版Edgeへの自動更新をブロックする方法
Chromium版Edgeへの自動更新をブロックする方法としては、Microsoftから提供されている「Blocker Toolkit」を利用する方法と、自分でレジストリを設定する方法があります。
「Blocker Toolkit」でブロックする
「Blocker Toolkit」には、Chromium版Edgeへの自動更新をブロックするためのスクリプトファイル(バッチファイル)やグループポリシー管理テンプレートファイルが含まれており、スクリプトやグループポリシーで設定したい場合は有効です。
まず、以下のWebページから「Blocker Toolkit」をダウンロードして展開します。
Microsoft Edge の自動配布を無効にするための Blocker Toolkit | Microsoft Docs
「Blocker Toolkit」には、以下の4ファイルが含まれています。
- EdgeChromium_Blocker.adml - グルプポリシー管理テンプレート
- EdgeChromium_Blocker.admx - グルプポリシー管理テンプレート
- EdgeChromium_Blocker.cmd - スクリプトファイル
- EdgeChromium_BlockerHelp.htm - ヘルプファイル
スクリプトで設定する
スクリプトを利用する場合は「Blocker Toolkit」に含まれる「EdgeChromium_Blocker.cmd」を利用します。
スクリプトの利用方法は、配布ページや「EdgeChromium_BlockerHelp.htm」に詳しく記載されているのでそちらをご覧いただくのが良いと思いますが、基本的な使い方は次のとおりです。
自動更新をブロックする
Chromium版Edgeへの自動更新をブロックしたいコンピューター上で、管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、以下のコマンドを実行します。
> EdgeChromium_Blocker.cmd /B
コマンド実行後「この操作を正しく終了しました。」と表示されていれば完了です。
自動更新のブロックを解除する
自動更新のブロックを解除する場合は、解除したいコンピューター上で、管理者権限でコマンドプロンプトを起動して、以下のコマンドを実行します。
> EdgeChromium_Blocker.cmd /U
グルプポリシーで設定する
グルプポリシーで設定する場合は「Blocker Toolkit」に含まれるグループポリシー管理用テンプレートファイルをグループポリシーエディターに組み込んで設定します。
ここでは、ローカルグループポリシーを例に手順を紹介します。
まず、以下のファイルをそれぞれ所定のフォルダーにコピーして、グループポリシーエディターを起動します。
ファイル | コピー先フォルダー |
---|---|
EdgeChromium_Blocker.admx | %windir%PolicyDefinitions |
EdgeChromium_Blocker.adml | %windir%PolicyDefinitionsja-JP |
グループポリシーエディターを起動したら、左ペインから「コンピューターの構成」>「管理用テンプレート」>「Windowsコンポーネント」>「Windows Update」を順に展開して「Microsoft Edge (Chromium-based) Blockers」を選択します。
右ペインに「Do not allow delivery of Microsoft Edge (Chromium-Based) through Automatic Updates」という項目が表示されるので、ダブルクリックします。
すると、設定画面が開くので「有効」を選択して「OK」をクリックすることで、Chromium版Edgeへの自動更新がブロックできます。
なお、ブロックを解除するときは「未構成」ではなく「無効」を選択します。
グルプポリシーを設定後、ポリシーをマシンに適用するには再起動するか、gpupdateコマンドを実行します。
ActiveDirectoryドメイン環境の場合
ドメイン環境の場合は、ドメインコントローラー上でグループポリシー管理用テンプレートファイルを下表に記載しているフォルダーへコピーして作業を行います。
ファイル | コピー先フォルダー |
---|---|
EdgeChromium_Blocker.admx | %windir%SysvoldomainPoliciesPolicyDefinitions |
EdgeChromium_Blocker.adml | %windir%SysvoldomainPoliciesPolicyDefinitionsja-JP |
レジストリ設定でブロックする
レジストリを設定して、Chromium版Edgeへの自動更新をブロックする場合は、レジストリエディターから手動で設定してもよいですが、ここではRegコマンドを実行して設定します。
自動更新をブロックする場合は、管理者権限でコマンドプロンプト起動して、以下のコマンドを実行します。
> reg add HKEY_LOCAL_MACHINESOFTWAREMicrosoftEdgeUpdate /v DoNotUpdateToEdgeWithChromium /t REG_DWORD /d 1 /f
コマンド実行後「この操作を正しく終了しました。」と表示されれば完了です。
ブロックを解除するときは、以下のコマンドを実行します。
> reg add HKEY_LOCAL_MACHINESOFTWAREMicrosoftEdgeUpdate /v DoNotUpdateToEdgeWithChromium /t REG_DWORD /d 0 /f
あとがき
なお、ここで紹介した方法は、Chromium版Edgeへの自動更新をブロックする方法のため、WSUS(Windows Software Update)や手動によるChromium版Edgeへのアップデートはブロックできないようなので注意してください。