インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

インターネット接続のスピードや信頼性を測るうえで、利用するDNSサーバーも重要なポイントの一つで、応答性や信頼性に優れたDNSサーバーを利用することで、Webサイトへのアクセスを速く、安定したものにできます。

そこでおススメしたいのが、米Cloudflareが提供しているパブリックDNSサービス「1.1.1.1」です。

「1.1.1.1」は、インターネット通信での名前解決を高速化でき、かつ利用者のインターネット閲覧状況に関するデータを収集しない、応答性と信頼性が両立したパブリックDNSサービスで、パソコンからだけでなく、モバイルでもモバイル用アプリをインストールして無料で利用できます。

そこでここでは、パブリックDNSサービス「1.1.1.1」の特徴や使い方を紹介します。

この記事は、以下の環境での動作結果を基にしています。他のバージョンや機種などでは、動作結果が異なる場合があることをご了承ください。

ソフトウェアバージョン
Google Nexus 5X(Android)8.1.0
1.1.1.1: Faster & Safer Internet3.3

1.1.1.1とは

「1.1.1.1」は、Cloudflareが2018年の4月1日に発表したパブリックDNSサービスで、次のような特徴があります。

  • プライバシー保護を最優先に考えられた無料のパブリックDNSサービス
  • 利用者の閲覧履歴などのデータを収集しない
  • DNS over HTTPS対応
  • DNS over TSL対応
  • IPv4アドレス:1.1.1.1 1.0.0.1
  • IPv6アドレス:2606:4700:4700::1111 2606:4700:4700::1001

詳しい情報は「1.1.1.1」公式ページをご覧ください。

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

1.1.1.1の高速性

1.1.1.1は高速性にも定評があり、公式ウェブサイトでも計測に使用されている「DNS Performance Analytics and Comparison」を使って計測した結果は、以下のとおりで「Google Public DNS(43.65ms)」と比較しても約1.5倍高速のようです。

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

また、自宅サーバー(CentOS 7)でdigコマンドを使って「問い合わせ時間」計測してみます。比較対象として「Google Public DNS」でも計測してみたところ「1.1.1.1」が約3倍高速という結果でした。

「Google Public DNS」の計測結果は、次のとおりです。

# dig www.yahooo.co.jp @8.8.8.8

; <<>> DiG 9.9.4-RedHat-9.9.4-51.el7_4.2 <<>> www.yahooo.co.jp @8.8.8.8
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 60401
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 1

;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 512
;; QUESTION SECTION:
;www.yahooo.co.jp.              IN      A

;; ANSWER SECTION:
www.yahooo.co.jp.       3599    IN      A       202.152.216.11

;; Query time: 40 msec
;; SERVER: 8.8.8.8#53(8.8.8.8)
;; WHEN: 火  4月 03 14:53:10 JST 2018
;; MSG SIZE  rcvd: 61

「1.1.1.1」の計測結果は、次のとおりです。

# dig www.yahooo.co.jp @1.1.1.1

; <<>> DiG 9.9.4-RedHat-9.9.4-51.el7_4.2 <<>> www.yahooo.co.jp @1.1.1.1
;; global options: +cmd
;; Got answer:
;; ->>HEADER<<- opcode: QUERY, status: NOERROR, id: 53173
;; flags: qr rd ra; QUERY: 1, ANSWER: 1, AUTHORITY: 0, ADDITIONAL: 1

;; OPT PSEUDOSECTION:
; EDNS: version: 0, flags:; udp: 1536
;; QUESTION SECTION:
;www.yahooo.co.jp.              IN      A

;; ANSWER SECTION:
www.yahooo.co.jp.       3583    IN      A       202.152.216.11

;; Query time: 14 msec
;; SERVER: 1.1.1.1#53(1.1.1.1)
;; WHEN: 火  4月 03 14:55:30 JST 2018
;; MSG SIZE  rcvd: 61

1.1.1.1の利用方法

パソコンやWi-Fiに接続しているスマートフォンで1.1.1.1を利用するときは、ネットワーク設定でDNSサーバーのアドレスを1.1.1.1のアドレスに変更するだけで利用できます。

設定方法は、以下の記事をご覧ください。

インターネット通信を高速化したいならパブリックDNSの利用もアリです。
ここでは、おすすめのパブリックDNSサービスや、Windows 10やAndroidスマホで、DNSサーバーの設定をパブリックDNSに変更する方法を紹介します。

スマートフォンのモバイルデータ通信時にも1.1.1.1を利用したい場合は、スマートフォン向けアプリをインストールする必要があります。

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

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アプリをインストールしたら、アプリを起動して真ん中に大きく表示されているスイッチをオンにするだけでパブリックDNSの利用を開始できます。

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ちなみに、私の環境(docomo回線)では、オンにするとアプリにより動作が遅くなったり、正常に動作しなかったため、設定を変更してみたところ、問題なく利用できるようになりました。

設定変更箇所は、アプリ右上のボタンをタップして「More settings」>「Connection options」>「Protocol options」を順に開きます。

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

「Protocol options」画面で「Auto」から「DNS over TLS」に設定します。

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上記の設定で、他のアプリでのインターネットアクセスがスムーズになりました。

利用した感じでは、速度低下をほとんど感じなかったので、現在の速度を維持しつつ安全性が今まで以上に高くなると思えば、利用する価値は大いにあると感じました。

「1.1.1.1 with WARP」でさらなる安全性アップ

「1.1.1.1」アプリには、2019年4月から「WARP」というVPNサービスが追加されており、アプリ右上のボタンをタップした設定画面で「1.1.1.1 with WARP」を選択することで利用できます。

インターネット通信を高速化して安全性もアップできるパブリックDNS「1.1.1.1」

「1.1.1.1 with WARP」を選択すると、パブリックDNSの利用だけでなくVPNも利用でき、インターネット通信を常に暗号化して、安全性をさらに高めることができます。また、データ通信量の削減にも期待できるようです。

あとがき

すべての環境で、問題なく利用できるとは限りませんが、インターネット接続スピードや、インターネット接続時の安全性を高めることができるアプリとして、試せてみる価値は大いにあるのではないでしょうか。