2019年9月に登場した「CentOS Linux 8(以下、CentOS 8)」では、従来のCentOS 7からいくつかの変更点があります。
今後、CentOS 8への移行を考えている方にとっては、具体的にCentOS 7からどこが変わっているのかが気になるところです。
そこで、各所で紹介されているCentOS 8のCentOS 7からの変更点を自分なりにまとめておきたいと思います。
CentOS 8のサポートは、2021年12月31日で終了されています。(CentOS 7は、2024年6月30日までサポートされます。)

目次
パフォーマンスがアップした
環境にもよるようですが、CentOS 7と比較して約10%~30%のパフォーマンスアップが見込めるようです。
参考:
Initial Benchmarks Of CentOS 8.0 & CentOS Stream On Intel Xeon / AMD EPYC - Phoronix
エディションが増えた
CentOS 8では、CentOS 7と同じようなリリースサイクルのエディションに加えて「CentOS Stream」というエディションが追加されました。
「CentOS Stream」は、従来よりリリースサイクルが短いエディションで、最新機能や「Red Hat Enterprise Linux(RHEL)」のマイナーリリースのために開発中のパッケージなどが含まれています。
これは、従来のCentOSがRHELのダウンストリームという位置づけだったのに対して、CentOS Streamは、RHELのアップストリームに相当することを表しています。
ミドルウェアのバージョンが上がった
CentOS 8では、各種ミドルウェアの標準バージョンが新しくなりました。
たとえば、PHP7.2、MariaDB10.3、MySQL8.0などが利用できるようになりました。
パッケージ管理ツールが「dnf」に変更
パッケージ管理ツールが「yum」から、Fedoraなどで採用されている「dnf」に変更されました。
yumコマンドも引き続き利用できますが、yumコマンドを実行すると内部的にはdnfコマンドが呼び出されるようになっています。
CentOS 8では「/usr/bin/dnf」と「/usr/bin/yum」は、ともに「/usr/bin/dnf-3」へのシンボリックリンクとなっています。
注意点として、パッケージのインストールなどはこれまでと同じコマンドで行えますが、yumのプラグインとは互換性はないようです。
dnfのオプションのうち、従来のyumコマンドから廃止されたものは、以下のWebサイトで確認できます。
Changes in DNF CLI compared to YUM — DNF 4.2.17-1 documentation
時刻同期サービスが「chrony」に一本化
CentOS 7では、時刻同期サービスとして「ntp」と「chrony」が利用できましたが、CentOS 8で「chrony」に一本化されました。
ファイアウォールが「nftables」に変更
ファイアウォール機能(パケットフィルター)が「iptables」から「nftables」に変更されました。
なお「firewalld」も内部的には「nftables」が呼び出されるようになっています。
TLSの標準対応バージョンが1.2以上に
インターネットなどのコンピュータネットワークにおいて、セキュリティを要求される通信を行うための仕組みであるTLS(Transport Layer Security)の標準対応バージョンが、TLS1.2、TLS1.3になりました。
TLS1.0、TLS1.1はデフォルトでは無効になったため、TLS1.1以下を利用する必要がある場合は、暗号化ポリシーの変更が必要になります。
あとがき
LAMP環境などを構築した限りでは、CentOS 6からCentOS 7になったときと比べると、CentOS 7からCentOS 8では、OSの設定やパッケージのインストール・設定方法に、あまり違いはなく、それほど手間取ることなく構築できると感じました。
そろそろCentOS 8へ移行しようかと考えているなら、変更点はチェックしておきましょう。